★サザンカの天ぷら

サザンカ
    エビ天の脇にサザンカの天ぷら

いすみ市はサザンカが満開です。
ツバキの天ぷらは何度か経験がありますが、サザンカは経験がありません。
というのも、サザンカの花は散りやすく、天ぷらにしようと採集してもバラバラになってしまいます。
かといって、つぼみのままでは豪華さが足りない。
花を天ぷらにしたというインパクトがなくなり、何これ?の世界では努力の甲斐がありません。

けっきょく結論はきわめて常識的で、ちょっと開き始め、今日咲き始めたという花を選んで採集すれば、なんとか花の形を保てます。
それで頑張ってみました。

安物のエビ天は厚手の衣ばかりが目立ちます。でも、それでは花を天ぷらにした意味がありませんね。
花を天ぷらにしたという趣向を生かすには、サッとくぐらせた薄手の衣が良いと思います。
薄手だと花の裏だけを衣にするというわけにはいきません。

サザンカの花びらは薄いので熱に弱くて縮みやすく、色は紫に傾きます。
ツバキの花びらは付け根がサザンカと比べるとやや厚めで丈夫なので、菊と同じように花裏だけに衣を付けて揚げることも可能ですが、サザンカは無理な気がします。
花全体に衣を付けて固着し、花の形を保つのが良いと思いました。

で、肝心の味ですが、別にどうってことありません。
ほとんど特徴的な味はなく、サザンカを頂いているという気分だけの気がします。
ツバキならば花びらの基に蜜腺があるので甘味を感じます。
サザンカだって蜜腺があるのにどういうわけか、あまり感じません。

つまり、苦労の割に達成感がないのが世間で普及していない理由だと思います。
でも、その苦労・苦心の味をわかってくれる人にはサーブするのも一興かと思います。
年末に、東京から来るお客さんもいないでしょうが、もし、いらっしゃたら、庭のサザンカの天ぷらを添えた蕎麦でもお出ししましょうか。


 

★馬の大根とは気の毒な

山わさび
 horseradishホースラディッシュ 標準和名は西洋わさび

別名が山わさび。すりおろして食べるとピリリと辛いわさびの味がします。
すりおろす時はゴーグルが欲しいなと思うくらい目にしみます。
息をするにも鼻呼吸だと刺激が強すぎる。ハーハーと口呼吸です。

わさびと名前が付いていても緑色ではなく、画像のように断面は白いので、超辛味大根という感じでしょうか。
よくよく調べたら、市販のチューブ入りのわさびの原料に使われているんだって。知らなかった。
本物のわさびに比べて安いのは、そいうい訳。
葉や茎も色付けに使っているとは聞いていたけど、山わさびも混ぜて味を調整しているらしい。

伊豆や長野のわさびはきれいな流れる水の中で育ちますが、こちらは畑で育ちます。
初めて味をみたのは、知人とそばを打って食べる会があり、その時にAさんが、これをそばつゆに入れて食べるとおいしいんだよと畑の山わさびを持参してきた時。
その時は、なんだかなぁ、というのが正直な気持ち。

昨年、Bさんが苗があるけといる?というので数株もらいうけ、畑に植えてそのまま放置。
もういいだろうと掘り出して洗ったのが画像。かなり根がひねくれています。
皮をむいてすり下ろしますが、かなり固いので苦労します。
それで半分は目の粗いおろし器で粗(アラ)おろしにしました。
粗おろしも独特の歯触りでよろしいかと思います。

最近はやりの新型野菜。ビーフステーキ、ローストビーフなどに少々載せていただくのが流行りだとか。
北海道のお土産として山わさびのすりおろし醤油漬けが大人気だとは、隣の若奥さんの話。

我が家では、ごく普通に、すりおろしを刺身にのせていただきました。
本わさびと比べると格落ちしますが、山わさびはこういう味だと思えばよいのでしょうね。
マガイモノだと思うからいけない。
ご飯のお供としても、それなりの価値があります。

今晩はどういうわけか、夕食は奮発してトンカツでした。
トンカツと言えばトンカツソースですが、山わさびすりおろし醤油漬けをトッピングしてみました。
これもまぁまぁだったと思います。


 
 

★クルミの割り方――里山の恵み

くるみ1くるみ2

毎月出かけている「里山の会」のフィールドには大きなクルミの木があります。
先日の猛烈な雨で、その実がたくさん落ちてしまい、泥まみれになっていたのを会員が拾って洗って分けてくれました。

いくつかもらってきて、もう一度良く洗い、天日で乾燥してから割りました。
割り方にはコツがあり、ハンマーでたたいたくらいでは割れません。

我が家のまな板に、ちょうどあつらえたような穴がありました。
この穴にクルミを立てて入れ、かたい殻の合わせ目の筋に画像のように包丁の刃尻を当て、上から軽くハンマーでたたけばパカッと開きます。
包丁の刃尻以外の部分を使うと刃がこぼれたりしたら大損害。刃尻で行うべし。
クルミを指で支えて包丁を当てる――そんな危険のことはしてはいけません。

ちょうどよい穴がなければどうしますか?
水にぬらしたお絞りを絞ってたたんで丸く渦巻き状にしてまな板に載せ、その中央にクルミを押し込めば立ちます。

マイナスドライバーなら刃こぼれの心配はないけれど、うまくすき間に当てるのにコツがある。
クルミをフライパンでロースト(乾煎り)すると、殻にわずかなすき間が開きます。
そこにドライバーを差し込んでひねれば簡単に二つに割れます。
マイナスドライーバーだけで割ろうとする人は、ひと手間かけてローストしてからが良いと思います。
電子レンジやオーブントースターではうまくローストできないという話です。

さて、二つに割れた実からクルミを取り出すのは楊枝が一番使いやすい。
上手くいけばポロリとクルミがとれます。
上手くいかなければほじり出すことになります。

生で食べるか、ローストするか、一長一短ありますが、崩れちゃった実をローストするのも、なんか気乗りしません。
わたしはいつも生のままで頂きます。
ほのかに甘味があっておいしいと思います。
特に山野でタダで手に入れたものは、それだけで特別においしく感じるものです。

*****

先だって面白い画像を見つけました。
カタルーニャ独立運動の旗を掲げるクレヨンしんちゃんです。
     しんちゃん  ”カタルーニャ 独立” と書いてあります。

しんちゃんの服の色合いがカタルーニャのシンボルカラーと同じで、画像の図柄が独立派市民のTシャツに描かれていたりします。
現地ではクレヨンしんちゃんなど日本のアニメが大人気だそうです。
独立を応援したくなりますが、現実的にはすべてのEU諸国の承認が必要で、スペインとの関連で難しい局面を迎えそうです。


 

★やっとスルメイカが出回るようになってきた

イカメシ
      活力鍋で使えばイカ飯は簡単だ

北海道ではイカが空前の不漁だといいます。
そのせいで関東でもなかなか出回らず残念な思いをしていましたが、ようやく小型ながらも手に入るようになりました。

<材料> ①スルメイカ2はい ②もち米 1/2カップ
   お米の下味用 ③酒、醤油、各大さじ1/2
   煮汁用     ④酒、みりん、醤油、砂糖 各大匙1 ⑤水またはだし汁 200cc   
<作り方>
1.もち米をとぎ、1時間以上浸水し、ざるで水切りし、ボールに入れて下味をつけておく。
2.イカの足・内臓・軟骨をきれいに引き抜き、水洗い。
3.イカの胴に下味付きもち米を6分目程度まで入れて、爪楊枝で止める。
4.活力鍋にイカと煮汁を全部入れて加圧3分。
5.自然冷却したら、イカの上下を返して煮汁を中弱火で煮詰める。
6.これで出来上がり。切り分けて召し上がれ

さて、イカのワタはすごくおいしい。捨てるなんてモッタイナイ。
イカの足とワタと塩で塩辛ができますが、一番簡単なのは、ホイル焼き。
足を適当な長さに切り分け、ワタと一緒にアルミフォイルに包んで焼くだけ。
醤油をちょっと垂らしていただけば絶品です。

===どうでもよい雑知識===

高校1年の時、難読漢字とやらを勉強させられました。
イカは [烏賊] で、ぜったいにイカとは読めないとフンガイしたものです。

今思うと、これは古代中国語のようです。
『旧唐書・南越志』という本には――イカはいつも水の上に浮かんでいて死んだふりをしている。それをカラスが見つけてくちばしでくわえようとすると、とたんに巻き付いてカラスを捕まえてしまう。それで「烏賊」と言う――

そんなばかなと思う昔のベトナムの話ですが、海産物にうとい大陸の中国人は信じたようです。
その単語が遣唐使とともに 日本に輸入されたわけです。

現代中国語辞典で調べてみると [魷魚] とありました。
ヨイイーみたいな発音です。
漢字で書いても、現代中国人には烏賊では通じないかもしれません。



 

★ようやくサンマが安くなりました。

サンマ刺身
  サンマをさばいて刺身にした。これで100円。       

ようやくサンマが安くなってきました。1尾で100円の特売。
かつてのように3尾100円とまではいかないものの、これなら買う気になります。
5尾買って500円。刺身、塩焼き、煮つけにしました。
これで何回か食事がとれます。まさに庶民の味方です。

サンマと言えば「目黒のサンマ」。
江戸庶民の味を初めて知ったお殿様は お城でサンマを所望するが油抜きの蒸し焼きで少しもおいしくなかった。それで「サンマは目黒にかぎる」とのたまわったという落語。

油が乗ったサンマは下魚でした。焼けば煙がもうもう。お殿様の食品ではありませんでした。
それはマグロのトロも同じ。わさびが流通する前は嫌われていました。
しかし下魚ゆえに安価で庶民に好かれ、やがてその味に慣れると日本の代表的な料理になりました。

しかし最近は、海流の変化、資源の枯渇、はたまた中朝の爆漁なのか、高いのは困ります。
流通網の発達で、サンマが刺身で食べられるほど新鮮なままで食卓に上がるようになったのはうれしいことです。
初めて秋刀魚の刺身を食べた時はびっくりしたものです。

サザエさんの漫画でも七輪の上のサンマをドラ猫が盗んでいくのはおなじみです。
生のサンマは塩焼きが庶民の味でした。
佐藤春夫がサンマを秋刀魚と表記してから秋刀魚と書くのが普通になったそうで、それ以前は「三摩」など、いろいろな書き方があったそうです。

その佐藤春夫が歌った 「さんま苦いか塩つぱいか」 という 「秋刀魚の歌」 のワンフレーズは多くの人になじみのことでしょう。

   「秋刀魚の歌」佐藤春夫  『我が一九二二年』に掲載

  あはれ秋風よ
  情(ココロ)あらば伝へてよ
  ――男ありて
  今日の夕餉(ユウゲ)に ひとり
   さんまを食(クラ)ひて
  思ひにふける と。

  (中略)

  ――男ありて
  今日の夕餉に ひとり
  さんまを食ひて
  涙をながす と。

  さんま、さんま
  さんま苦いか塩つぱいか。
  そが上に熱き涙をしたたらせて
  さんまを食ふはいづこの里のならひぞや。
  あはれ
  げにそは問はまほしくをかし


実は、佐藤春夫と谷崎潤一郎、そして谷崎の妻千代との間に深刻な問題がありました。
「秋刀魚の歌」に登場する 「男」 は佐藤自身で、その間の複雑な事情・心情が歌いこまれています。(中略した部分に)

サンマに塩を振りすぎたとか、腹ワタは苦いとか、そんなことではなかったのですね。
一人焼いたサンマを食べて涙する男、他方には焼いたサンマに歓声を上げる市井の人々。
まさにもの思わせる秋の景色を切り取った一編です。

「さんま苦いか塩つぱいか」 というフレーズは佐藤春夫の詩歌にかかわらず、箸をとり舌鼓を打つ様々な庶民の期待の心を表したものとして独り歩きしていますが、それはそれでいいんじゃないか、と思っています。