★寒風に干し大根

大根1大根2大根3
   すっきりした青空に大根を干す

房総半島は雨が少ない。まして雪になることはめったにありません。
房総の山々は標高が低く、最高峰の愛宕山でも408m。せいぜい300mレベルの山並みが続いています。
そのため太平洋からの東風も、東京湾を越えてくる西風も山脈にぶち当たって雨雲を作るということが少ないのでしょう。

連日、気温は寒くとも晴れて乾燥した日が続き、干し野菜を作るには絶好の季節です。
寒いから台所作業です。

泥の付いた大根を頭を切り落としてから、よく水洗い。
大根本体の皮をむくのが上品だけど、むいてもむかなくとも 歯ごたえ・味に大差はありません。
皮付きの方が栄養価は高いでしょう。

円盤形にスライスした大根と、千切り大根の二種類干しました。
うっすらと色が変わり、カサカサになるまで干すには数日間かかります。
干しが足りないとカビの原因になりますが、冷蔵庫保管ならば問題ないでしょう。

干せば栄養価は高くなるけれど、たいてい水に戻して使いますから、単位重量当たりの栄養価はたいして変わらないでしょう。
植物繊維とカルシュームは戻しても増えているそうです。不思議ですね。

煮物やみそ汁の具に大活躍しますが、油で炒めるのも良いという話です。
炒めると言えば大根の葉ですが、そう大量に食べられるものではありません。

葉もきれいに洗って刻み、乾燥させます(画像右)
葉は干物ネットに入れておかないと、乾燥した葉は風で飛ばされてしまいます。
これは “大根葉風呂” 用です。

野にあるヨモギの葉でも入浴剤になります。
食用になる野草なら安全ですが、スイセンなどの毒草は入浴剤にはなりません。
見た目や香りが良いからなどと ウカツに利用すると新聞沙汰になってしまいます。


 
 

★外房の海苔雑煮

海苔雑煮
     ネット画像をまねして作ってみました

房総半島の太平洋岸では地元の「ハバ海苔」をつかった雑煮がソールフード、故郷の味だそうです。
海苔(ノリ)と言えば、浅草海苔、山本山タイプの海苔か岩海苔の佃煮ぐらいしかなじみがありませんが、外房ではいろいろな海苔が採集されます。

ハバノリという海苔は、ハバをきかすというダジャレからか、特に正月に珍重されました。
ところが昨今は不漁で、さっぱり市場に出回りません。
ネット通販では3枚で3500円。何かの間違いじゃないかと思うほどの高値です。

やむなく「地のり」なるものを購入し、たっぷりの海苔を使った雑煮にしてみました。
出汁だけで具なし。真っ黒けの雑煮でしたがこれがけっこう結構いけます。(画像なし)
画像なしではさみしいので、翌日、蒲鉾と伊達巻を飾って画像にしてみました。

これもまたgoodで、入れる具は各家庭ごとにバリエーション、定番があるとききました。
根菜類や、魚介類、何を具にしても大丈夫だと思います。
「ハバ海苔」じゃないけど、おいしいから「地のり」で満足です。

海苔からはたっぷりと出汁が出るのだと先だってのNHKガッテンで言っていました。
海苔には多くのアミノ酸が含まれ、このアミノ酸は昆布出汁のグルタミン酸と同じ成分で、
カツオ節の旨味成分のイノシン酸と組み合わさると、最高の旨味になるんだとか。

カツオだしを使った海苔雑煮はだからウマイのだと納得します。
真っ黒けというなじみのない雑煮ですが、その旨さは見た目の悪さをはるかに上回ります。
真っ黒けでもイカスミパスタなんてありますからね。
真っ黒な海苔雑煮がいいんですよ―――外房のソールフードが少しわかった気がします。
明日は里山の餅つき。真っ黒けの雑煮をお出しすることにしましょう。

「地のり」は地元大原産。ほぼ同様な「磯のり」は内房産。どちらも手ごろな価格です。
しいて文句を言えば、何という海苔なのか、その品種名がどちらも表記なし。

地元で大豆を買うとき、何という品種ですかと聞いても「大豆です」という返事しかないことがあります。
サツマイモはさすがに最近は紅東、鳴門金時などと品種名が表示されるようになりました。
地元の海苔だから地のり、磯で採ってきたから磯のり――でも、都会から来た人にも販路を広げようとするならば、品種名を書くことはこれからは必須になることでしょう。

たとえば東京湾の浅草海苔は激減し、近縁種が浅草海苔の名前で流通しています。
それは厳密にはマガイモノです。――規制法令がないからOKなのかしら。
大切なことは昔ながらの浅草海苔なのか、そうではないのか、そこを消費者としては知りたい。

今食べている海苔は何という海苔なのか知りたいと思います。
内房で浅草海苔が激減し、外房でハバ海苔が激減した、その理由が知りたいところです。
そうすれば豊かな浅草海苔、ハバ海苔復活の手立ても見えてくることでしょう。


  

★お汁粉を作った

田舎汁粉

先日、「餅つきをしたから」 と知人のAさんが、つき立てお餅を届けてくれました。
もう師走ですね。あちこちで餅つきの話を聞きます。

里山の会でも今月の末にセンターの大掃除を兼ねて餅つきがあり、新年になると正月の行事として餅つきが恒例になっています。
その時は手作り納豆を持参するつもりです。あんこはU夫人が持参するでしょう。

それはそれとして、冷蔵庫に死蔵されていた小豆を使ってあんこを作ってみました。
それに湯を足して簡易お汁粉(画像)にしていただきました。
できたてのお餅にできたてのお汁粉、おいしいに決まっています。

小豆は1袋300g。一度1リットルの水を入れ、煮こぼしアクを抜きます。
あらためて900ccの水で活力鍋。沸騰したら弱火で20分。
ピンが降りたら砂糖250gを加えます。適当な砂糖がなかったので氷砂糖で代用。
放置しておけば溶けますが、はやく食べたかったので多少加熱しました。

小豆は事前に水に浸す必要がなく、活力鍋ならばほとんどスイッチポンだけで出来上がります。
本当に便利な調理器具です。

冬至には小豆粥(カユ)や小豆・カボチャの煮物を出す地域があるんだそうです。
小豆の赤色が邪気を払うとして珍重されました。
小豆のお汁粉だってインフルやノロをやっつける威力があるに違いない――そう信じていただきました。

冬至には小豆。そして立春に(節分)には大豆。
豆類を食べる機会が最近はめっきり減りましたが、日本人の生活に不可欠の栄養食品でした。
豆類の持つ多様な栄養素が、「邪気を払う」とされた根拠かもしれません。

寒さに縮こまり弱った体に小豆粥や小豆カボチャが、特効薬として体力回復に役に立ったのだとすれば、冬至の食習慣は迷信として切り捨てるのは惜しいことです。
たぶん餅つきも単なる伝統行事ではなく、根拠があることなのだと思います。


 

★いすみ市大原銘菓――栗饅頭二種

栗最中
   左=緑屋さんの栗饅頭  右=桜堂さんの栗饅頭

大きさはほぼ同じ。どちらも白あんに栗がゴロンと1粒。
緑屋さんの栗は縦置きだから、饅頭の背が高い。
桜堂さんの栗は横置きだから、饅頭は扁平。

食感はどちらも上品にこしらえてあり、さすが大原の老舗の味だと思います。
個人的な感想では、桜堂さんの方が甘味が濃く、緑屋さんの方がやや薄味。
濃い甘さが良いか、やや薄味の甘さが良いかは個人の好みが分かれるところでしょう。

都会地に限らず、昔からの和菓子屋さんが次々に姿を消しています。
後継者がいないからですが、後継者がいないのは苦労の割に見合う収入が得られないからでしょう。

昔と比べてスイーツの量も幅も増えました。
ケーキ屋さんやパーラーのほか、コンビニやスーパーでも手軽に手に入ります。
その中で純和風の饅頭は苦戦しているに違いありません。

緑屋さんも桜堂さんも地元では名の知れた老舗ですから固定客がついているのでしょう。
お使い物にはいつもこの店の栗饅と決めているという人もいました。
そういうウワサを聞きつけて、それではと今回の食べ比べになりました。

有名企業の大量生産品よりも地元の商品をできるだけ応援したいものです。
もっとも栗を使った銘菓というと、隣りの大多喜町には栗ドラがあります。
栗入りドラ焼きを作って販売している店は三つほどあり、
それぞれドラ皮の味、アンの味、栗の味が微妙に異なります。

職人さんが代わったせいか、味がかわった店や、大きさがやや小さくなった店もあります。
いずれも苦戦しているからの変化なのでしょう。
糖質カットとか、脂肪分カットがもてはやされる時代ですから、昔ながらの変わらぬ味で勝負する――それで生き残れるほど甘くはないのでしょう。

栗は夷隅(イスミ)地域の特産でもあります。栗を使った和菓子が数々生まれたのは地域の特性であり、時代の要請でした。

栗饅頭と栗ドラ。互いにライバル関係にあると思いますが、互いに競い合ってより良い商品として子々孫々の代まで活躍してほしいものです。
消費者としては商品を購入・消費してその店を支援する、そんなことしかできません。

たまにはお和風の茶に和菓子のティータイムも良いものだ、これは間違いありませんからお勧めいたします。


 
 

★炊飯器で甘酒。ひと手間加えて超甘く。

三色甘酒
   白米の甘酒、 黒米で甘酒 サツマイモで甘酒

寒い季節、温かくて甘い甘酒はうれしいものです。江戸では昔から寒い夜の飲み物でした。
甘酒売り
画像は『復元 江戸生活図鑑』(柏書房)からの引用図です。甘酒売人は冬支度の防寒服装で、暖めて売っていたことがわかります。
ところが京・大阪では夏の飲み物で、冷やし甘酒でした。俳句の世界では今でも甘酒は夏の季語になっています。
甘酒は今では季節を問わぬ飲み物になりましたが、産直店では米麹や新米の季節です。ならば昔ながらの甘酒を作って乾燥した寒さを切り抜けましょう。

基本の甘酒の作り方
  1.米1合150gに対して目盛り3の水でおかゆを炊きます。
  2.米麹の量は米と同量の150gで、良くもみほぐします。
  3.60℃にさましたおかゆに万遍なく麹を混ぜます。
  4.炊飯器の釜に布巾をかぶせ、フタは半開きのまま60℃で10時間保温。
    炊飯スイッチではなく保温スイッチです。
  5.やや甘さ控えめでソフトな仕上がりになります。

糖度アップの技術
  1.目盛り2で「固おかゆ」にすれば水分が少ない分、濃厚で甘味料に利用できます。
  2.出来上がったら冷蔵庫で1~2日おくと追熟し、糖度が大幅に上がります。
  3.冷やし甘酒よりHOT甘酒の方が甘く感じます。
  4.ひと煮立ちさせると酵素の最後の働きで、実際に糖度が上がります。
  5.事前に米や麹をミキサーで粉砕してから甘酒を作ると糖度が数段上がります。
  6.麹の比率が多い方が糖度のほか味も香りもコクもうま味も向上します。
  7.普通の白米よりも、もち米の方が甘さが強くなります。

保存の技術
  1.数日で飲み切ってしまうならば冷蔵庫保管。
  2.それ以上ならば「火入れ」で過熟を防止します。
    火入れは鍋で沸騰させずに70~80℃で5分間。
  3.あとは冷凍保管です。

ご飯を口の中で何度も噛みしめるとでんぷん質が糖化されて甘くなります。唾液中のアミラーゼの働きですが、甘酒の基本原理もこれと同じです。
ならば白米のみならず、玄米、黒米、雑穀米、サツマイモだって甘酒になるはずです。
それで実験的に作ったのが画像の黒米甘酒とサツマイモ甘酒です。

黒米はおかゆにしてから粉砕し、サツマイモは皮をむき、サイノメ切りにして目盛り3で炊いてからミキサ―にかけました。
麹を入れて甘酒にしてから再度ミキサーにかけて飲みやすくしました。
好みもあるでしょうが、まぁまぁの出来です。

先日、隣家の若奥さんが、手作りズンダ餅のアンをおすそ分けしてくれました。
甘味料は砂糖を使わず甘酒のみ。若いお母さんたちが集まって枝豆から苦労して作ったそうで、若い人たちの行動力・実行力に感心します。
それに刺激されて実験し、文章をまとめてみました。

減塩に慣れると、出汁の力を借りて薄味でも何の問題もないことに気づきます。
砂糖味も同様で、スウィーツレシピにある砂糖の量の多さには寒気を覚えます。甘さ控えめにすれば素材の味が出てきます。
砂糖を使わず甘酒を使うという昔ながらの方法は、今や最先端の方法かもしれません。