★川回しの風景(1) 

 
   島のような集落の周囲は水田

ここの水田部分にはかつて川が流れており、その旧川床を水田にしました。
川がぐぐっと蛇行しておりましたが、川の流路を付け替えることで生まれた水田です。
画像は市原市戸面(トズラ)296。
大多喜方面から養老渓谷の街並みを過ぎ、駅へ向かう途中、県道81号から撮影。

川の付け替え工事を房総半島では「川回し」といい、こちらに移住して初めて知った地元特有の単語です。
特に房総丘陵の養老川、小櫃(オビツ)川、小糸川の中・上流域に多く見かけられます。
川回しで新田を開発する手法は全国的には珍しく、千葉県以外では新潟に事例があり、そこでは「川瀬違え」と言うそうです。

房総丘陵の地盤は泥岩と砂岩がサンドイッチのように重なっており、比較的やわらかい地層のため、そこを流れる川は暴れ放題・好き勝手。
地図を広げてみれば、まるで河川の模式図のように蛇行を繰り返しています。
そのΩ型に蛇行した河川の首根っこの部分を切通したりトンネルを掘って結べば、河川は直流し、半円弧の部分は干上がり、そこを水田に転用することが可能となります。

江戸時代に新田開発としてさかんに行われた方式で、もちろん重機はありませんから、村中総出の人海戦術の手堀りで開削したに違いありません。
耕して天に至る段々畑や棚田も江戸時代の測量技術の発展により大々的に行われました。

その先人の汗と涙の新田開発も現代では減反政策や海外輸入米など、政治的な力で突き崩されようとしているのは残念なことです。
すでに不便な棚田は雑草が茂るようになり、川回しでできた水田も野原に変貌しつつあります。

それにしてもここは見事な景観ですね。
川回しによる水田開発がはっきりと見て取れます。
ここに住んでいる人たちは自分の土地が観光地化されるのは不本意でしょうが、千葉県特有の川回しでできた典型的な景観、「歴史的自然景観」として環境保全していく価値があり、その必要があると感じています。

★印=撮影場所  
 紫帯=推定旧川床
 草緑帯=行政境界線

      川回しの風景(2)→●

 

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