★モズのモズ吉 

 
    後ろ向きであまりいいアングルではないけれど

「キィー キィー キチキチキチ」と小鳥の甲高い声が聞こえたらモズです。
モズがキチキチと鳴くので、モズのことをモズ吉と言います。

急に寒くなりやっぱり秋ですね。
ここ1~2週間、モズの縄張り争いが激しくなり、「キィー キィー キチキチキチ」と高鳴きをしています。
この声を聞くとまた秋が来たなと実感します。

自分の縄張りを見張るために、見晴らしの良い場所(梢のテッペン、TVアンテナ、電線など)にいますから探してみてください。
スズメよりやや大きく、長い尾を落ち着きなくグルグル回しています。
眼のふちにはっきりしたアイシャドウがあり、鋭いクチバシが特徴です。

モズは漢字で百舌鳥と書きます。
政治家の二枚舌は珍しくありませんが、百枚舌というのはスゴイ。
これはモズが他の鳥の鳴きまねをするからで、ピチピチピチだのジュージュー、チュンチュンなどけっこう上手に鳴きます。
モズの間では鳴きまねが上手なほどモテルそうで、オスはメスの気を引こうとして必死です。なにせメスが求愛を受けるか振るかの決定権を持っていますからね。
オスもなかなか大変だ。

サトウハチロウの「小さい秋みつけた」に

  めかくし鬼さん 手のなる方へ
     すましたお耳に かすかにしみた
          よんでる口笛モズの声――という一節があります。

この場合、モズの高鳴きが遠くで聞こえたということでしょうね。
ハチロウは目隠しされた鬼。まわりの声や足音が突然消えて人の気配がなくなった。耳を澄ました。その時かすかにモズの声が聞こえた――。

この詩に中田喜直が美しいメロディーをつけましたが、やや暗くてさびしい印象があります。

ハチロウの父親の浮気癖から両親はケンカが絶えず、母親はハチロウが14歳の時に離婚して家を出ます。
ハチロウはグレて中学(旧制)を落第、退校、勘当、留置場入りを重ね、小笠原・父島の感化院にぶち込まれました。
そこで文学の師と出会い、彼の人生は大きく変わることになります。

おそらく幼い時に母親とした「目かくし鬼さん」の体験がこのフレーズの背景にあるのでしょう。
母と一緒に遊んだ楽しかった記憶、母が急にいなくなるのではないかという獏然とした不安。そんな遠い日の思い出がこの詩と曲に込められています。

実際のモズの高鳴きは「ちいさい秋」なんてロマンチックなものではなく、けたたましく、猛々(タケダケ)しく、騒々しくさえあります。
それが「小さい秋」になってしまったのはハチロウがおかしいのではなく、ハチロウの幼き日の心象風景だったからだと理解すると納得がいきます。

 
 

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