★太東埼のヤマユリ 

 

太東崎灯台に登る片道10分の山道は、ボランティアクラブの人たちによってきれいに整備されていますが、ヤマユリは刈り残されて何株も咲いています。
整備されているとはいえ、野生の自然がそのまま残っている「南房総国定公園」の一部ですから、まるで都市公園のようになっているわけではありません。
夏の雑草の中でスクッと立っている姿は気品があります。

ユリの語源は、花が大きく、風でゆらゆら揺れるから「ゆり」だと言われています。
漢字で書けば「百合・ヒャクゴウ」で、漢字クイズによく出てきます。
文字がなかった頃の日本では中国語(漢字)を使っていました。
中国語でユリは百合なので、百合でユリと無理やり読むことにしました。(訓読み)

百合の命名はもちろん「ゆり根」に由来します。
球根の鱗片が何枚も何枚も重なっているから百合で、漢方で利用しますが、救荒作物としても利用されてきました。何有荘では正月の料理に毎年出しています。
観賞用にも食用にもなるので盗掘され、太東埼のように自然に花咲く場所は珍しくなりました。
夏の暑さの中でハイキングをしていて、ふと出会うヤマユリに心慰められたものです。
野で見るヤマユリは格別に美しい。
太東崎灯台への道はそんな自然の姿をかろうじて残しています。

『古事記』神武天皇の条に神武が地元の神の娘・イスケヨリヒメの宅を訪問し、一夜を共にする話があります。
その近辺は「山由理草(ヤマユリグサ)多かりき」とあり、イスケヨリヒメとヤマユリはダブルイメージとなっております。
ただし、ヤマユリは固有名詞ではなく、単に「山のユリ」という意味でしょう。
では何ユリだったのかと詮索する人がいて、本当はササユリだったらしい。
ササユリは純白で清純な乙女を象徴するのにふさわしい。
ヤマユリは乙女にしてはちょっと豪華すぎますよね。ユリの女王様の印象です。

 
ユリが清純な女性を思いこさせるのは西洋も同じで、百合の花は聖母マリアの象徴となっており、ダビンチの『受胎告知』でも象徴的に描かれて、この女性が聖母マリアであることを図示しています。(大天使ガブリエルの顔のそば)


フランスのブルボン王家の紋章は「フルール・ド・リス」というユリをデザインしたもので、とてもユリとは思えないが、ミッション系の女学校のシンボルマークによく使われているので、日本でもおなじみのデザインです。

  

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