★ネジバナの季節 

   
  大原の海岸にて

花が順に少しずつずれてラセン状に咲くのでネジ花、あるいは捻じり花といいます。
ラン科の植物で、一つひとつの花はアップで撮れば、ラン科特有の形で美しい。
ところが撮影当日は雨だったので、花は閉じ気味だったのが残念です。
ネジバナの別名が「モジズリ」で、次の歌はよく知られています。

   陸奥(みちのく)の しのぶもぢずり 誰(たれ)ゆゑに
       乱れそめにし われならなくに
                     河原左大臣 (源融 ミナモトノトオル)

「心が乱れてまるでネジバナのように文字がまっすぐに書けません。あなたのせいです」という趣旨で、ネジバナは「モジズリ」という別名を与えられて有名になりました。
ところがこの解釈はまったくの誤解であり、ネジバナとこの歌は無関係です。

昔、しのぶの里(福島市)で採れた忍草の葉や茎を、大きな石に当てた布にこすりつけて乱れた模様を染め出し、その模様が乱れ文字に似ていたので「もじずり」という高級服地として貴族の間で流行しました。
だから“もじずり服地の模様のようにわたしの心はグチャグチャに乱れている。”と解釈するのが正しい。
忍草とはシダ植物の一種で、忍草が繁茂していたので「しのぶの里」といったのかどうか、その点は不明ですが、「忍の里」とは風情のある名前です。
もちろん“あなたを偲ぶ”のかけ言葉として利用されています。
日本人は昔から「忍ぶ恋」という状況設定が大好きでした。

誤解とはいえ「ネジバナ」は「偲ぶ文字摺り」として通用しています。
間違いを言う人が99人いれば、1人が何を言っても間違いが「正しい」のは世の常。
雑草にまぎれて咲く花が可憐なのでわたしも好きな花で、いつもの散歩コースで探すのが楽しみでした。

ここ数年姿を見かけないのは、環境整備と称してボランティアによって熱心に草刈りが行われているからでしょう。
「花を盗むな」という看板があちこちに立っていて不愉快ですが、ネジバナには心を洗われてきました。
見栄えの良い花を植えて美しく環境を整備しても、昔からの小さな植物がないがしろにされたのは釈然としない気持ちです。
だから大原の誰も来ない海岸で見つけた時は、「今年もやっと会えたね」とうれしかったですね。
できれば余分な人の手が入らず、自然のままで放置して頂きたいと思っています。

 

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