★ガマの季節――ウナギのかば焼き 

 
   土用の丑の日ごろになるとガマの穂が目立ってくる

土用の丑の日が近づきました。ウナギは万葉の時代から夏の食べ物だったようです。
ウナギの「かば焼き」はかつて、開かないで丸のまま竹串にさして焼いたので、まるでガマの穂のようだったからだという説があります。あまりアテにならない説ですが、おもしろい話です。

痩人(ソウジン)を嗤咲(ワラ)ふ歌二首  大伴家持・万葉集巻十六

   3853 石麻呂(イシマロ)に 我物申す 夏痩せに よしといふものぞ 武奈伎(ムナギ)捕り喫(メ)せ
   3854 痩す痩すも 生けらばあらむを はたやはた 鰻を捕ると 川に流るな

――石麻呂さんに 私は申し上げたい。 夏痩せには鰻が良いというから、それを捕って召し上がりなさい。
どんなに痩せていようとも生きてさえいればそれ良い。それなのになまじ鰻を捕ろうとして川に入って流されたりするんじゃないよ。――

石麻呂と家持は親しい間柄だからこそ、このような辛辣な歌を残せたのでしょう。
石麻呂の正しい名は、吉田連老(キチダノムラジ オユ)で通称が石麻呂。渡来系薬師の家柄なのに、ひどく痩せており骨皮筋右衛門、骸骨みたいだったそうです。
薬の専門家・石麻呂にウナギを食べろと勧め、川に流されるなとからかっているわけです。

家持も石麻呂も高級貴族ですが、みずからウナギを獲ることがあったのでしょう。またそのような自然環境であったことがわかります。
ウナギが夏痩せに良いという日本の常識はこの時代にもあったこともわかります。石麻呂は夏痩せではなく、もともと痩せていたからこそのからかいの歌です。

かば焼きの話に戻りますが、ウナギを開いて「カバ色」に焼くから「かば焼き」だという説に最近は魅力を感じています。
カバ色とは「蒲色」という説と「樺色」という説があります。
ガマの穂の色に似ているという説と樺の皮に似ているという説です。樺とは白樺ではなく、桜の樹皮をいいます。
のっぺりとしたガマの穂よりも横筋が目立つ桜の樹皮の方がかば焼きに近いと思いますがみなさんはどう思われるのでしょうか。
いずれにせよ、今年のウナギは高騰して困ったものです。

 

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