蒲(ガマ)の穂綿

    
          蒲(ガマ)の穂綿

空っ風が吹いていると、何か白いフワフワしたものが空中を漂っています。
子どもだった頃、オッ、エンゼルヘアーだ なんて思ったものですが、
最近はそんなロマンチックな発想は出てきません。
何有荘近辺で飛んでいるのはまず間違いなく、蒲の穂綿です。

夏の頃、蒲は湿地帯で育ち、フランクフルトソーセージのような穂ができます。
これは約35万の雌花の集合体で、その上に目立たない雄花が咲いています。
トウモロコシを想像すると良いと思います。トウモロコシの実は全部雌で、
その上に雄花が見映えのないサエナイ花を咲かせています。

10月頃からフランクフルトはボロボロに崩れだし、今頃の季節は見るも無惨な姿で、あれがかつてりりしい姿であったガマとはだれも想像だにしないでしょう。
受粉したあのフランクフルトは、秋になると1本から約35万の種子が風に吹かれて飛んで行くのです。千の風どころではありません。

さてアラカン(アラウンド還暦)以上の方は「大黒様」の歌をご存知でしょう。
   大黒様         作詞:石原和三郎 作曲:田村 虎蔵
1、大きな袋を肩にかけ    大黒様が来かかると
  ここに因幡の白うさぎ   皮をむかれて赤裸
2、大黒様はあわれがり   きれいな水に身を洗い
  がまの穂綿にくるまれと よくよく教えてやりました
3、大黒様のいうとおり    きれいな水に身を洗い
  がまの穂綿にくるまれば うさぎはもとの白うさぎ

しかし、この懐かしい歌には様々な問題点があります。
1.白うさぎとあるけれど、古事記では【素兎】。
  白いうさぎは明治以後、日本に輸入され、日本在来種ではありません。
  たぶん、薄茶色で模様のない野ウサギが素兎でしょう。
2.火傷の薬になるのはフランク状態でのオシベから採れる黄色い花粉で、
  乾燥した花粉を漢方では穂横(ホオウ)といいます。
3.古事記では【取河口蒲花粉】、河口で蒲の花粉を取り、と述べています。
  漢方の処方です。蒲の穂綿とは書いてありません。
3.穂綿は火打ち石で火をつける時に使われたり、蒲団の中身に使われました。
  穂綿にくるまれば白い毛が復活するように思えますが単なる妄想です。

白ウサギではなく、うす茶色の素兔。穂綿ではなく、花粉が正しい。
たぶん作詞家の石原さんはこのような事実を知らなかったのでしょう。
文部官僚も知らなかったので間違った情報がフリーパスで全国に広がってしました。

おかしいなと思った人もいたことでしょう。
しかし権威に口出ししたら投獄されかねない時代でしたから黙っていました。
それはおかしい、と誰に対しても言える現代社会の権利はとても大切なことです。
大事にしなければなりせん。

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