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★春は花 夏ホトトギス 秋は月  冬雪さえて すずしかりけり ――道元

  ホトトギス     画像元→サントリー鳥百科ホトトギス

義父と義兄の13回忌に出席しました。
一家に暮らしていた夫と父の二人が1か月の間に相次いで亡くなったので、同居して介護していた義姉はさぞ大変だったことでしょう。
そんなこともすべては過去の思い出です。

菩提寺は曹洞宗で、庫裏に表題の句が掲げられていました。

   春は花 夏ホトトギス 秋は月  冬雪さえて すずしかりけり 

仏教の本質はこの歌に尽きる、とも言われる曹洞宗開祖の道元の歌です。
13年前は気づきませんでしたが、今回は気持ちにゆとりができたせいでしょうか、この歌の額に気づきました。

仏教の悟りとはどういうものか、日本人の美意識とともに語られる歌です。
美しいものは美しい--それが本質だ、くだらないことは全部捨ててしまえとでも言いましょうか。

この年齢になるといろいろな宗派の法事に出席することがありますから、そのつど、なるほどなぁと感じ入ることがあります。
人生は諸行無常であるけれど、いつでも自然は変わらない。その美しさに感動する自分の心に気づくことが悟りの道につながる第一歩だと道元は言いたいのでしょう。

もっともその教えとは裏腹に、ご住職の心はどうやってこのお寺を今後も存続させていくか、ご心痛のようで、つまりは煩悩。金銭のやり取りに厳しいので親族の間では評判がイマイチです。

ま、それはともかく、夏の代表がホトトギスであることに驚きます。
子どものころ、ホトトギスは名前だけ知っている鳥でした。

昔はメジャーな鳥だったんでしょうね。
 鳴かぬなら殺してしまえホトトギス。鳴かせて見せようホトトギス。鳴くまで待とうホトトギス。
信長、秀吉、家康の違いだと習ったときはなるほどと思いましたが、どんなふうに鳴くのか知りませんでした。

何有荘に居を構えて暮らすようになると、夏は毎日のようにホトトギスの声を聴くのですが道元の心情にはなれません。
連日の暑さに参ってしまい、また鳴いたなと思う程度です。

江戸時代の良寛さんは、道元を意識していました。

   形見とて 何か残さむ 春は花 山ほととぎす 秋はもみぢ葉 

秋は月でもいいけれど、やっぱりもみぢでしょうと良寛さんはいいます。
秋はどちらが良いかは個性の違いだとして、夏はやっぱり良寛さんもホトトギスなんですネ。

夏といえばかき氷、スイカ、麦わら帽子などしか思い浮かびませんが、昔の人はホトトギスだった――
これは新鮮な驚きでした。
これからは、少しは敬意を払ってホトトギスの鳴き声を愛でることにしましょう。


 
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