★桜、花咲く

 さくら
     いすみ市岬公民館前にて

まだ3月だというのにアッという間に桜の花が咲いてしまい、何となく心の準備がまだできていません。
だってまだ遅咲きの梅は咲いているし、モクレンもコブシも花盛りです。
まだかまだかと待ちに待って咲くのが桜だったのに。

きちんと季節に従って順序良く咲いてもらいたいものだ、とブツブツ心の中でささやいていますが、こんな年もあるのでしょう。
入学式の校庭の花ではなく、卒業式の花になってしまいました。

   願わくば 花の下(もと)にて 春死なん その如月の望月の頃   西行法師

西行は72歳、命日は文治6年2月16日(1190年3月23 日)ですから、その願い通り、如月の満月の日に亡くなったといってよいでしょう。
旧暦では14,15,16日のいずれかが天文上の満月に相当します。

では桜が咲いていたかというと、今年の東京の満開宣言は3月24日。
2002年の満開日は3月21日でしたから、命日の23日に桜が満開であったとしても、まれではありますが、おかしくはありません。

満開になると早めに咲いた花は散り始め、やがて桜吹雪となります。
2018年の如月の満月は3月31日(土)ですから、満月の晩、各地で桜吹雪の下での夜桜見物になることでしょう。
なんとなく素敵ですね。

その当時(平安末期)、釈迦が入滅(死亡)したのは如月の15日、満月の晩であったと信じられていました。
おそらく西行は釈迦の命日と同じ日にと願ったのでしょう。

今日では新暦の2月15日、満月であろうとなかろうと、由緒あるお寺では「涅槃会 ねはんえ」が開かれます。
涅槃絵の掛け軸などをみると、満月が描かれていることが多い。
その仏事の際に、紙で作った大量の蓮の花びらがまかれることがあります。これを散華(さんげ)といいます。

お釈迦様は天竺(インド)の人ですから、涅槃絵に桜の花が描かれていることはありません
しかし、お釈迦さまが涅槃に入られたときに、時ならぬ沙羅の花が空からお釈迦さまに降りそそいだそうで、そのことから散華の行事が始まったとされています。
吹雪のように散る散華を西行も寺院で経験したはずですから、桜の花吹雪を散華と見立てたか、あるいは桜の花びらを伝説の沙羅の花びらに見立てかしたのでしょう。

願わくば――お釈迦様のようにして死にたいものだという西行法師の願いの歌です。
その願い通りにこの世を去ることができたまれな人物を思い出す季節です。


 
 
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