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★ようやくサンマが安くなりました。

サンマ刺身
  サンマをさばいて刺身にした。これで100円。       

ようやくサンマが安くなってきました。1尾で100円の特売。
かつてのように3尾100円とまではいかないものの、これなら買う気になります。
5尾買って500円。刺身、塩焼き、煮つけにしました。
これで何回か食事がとれます。まさに庶民の味方です。

サンマと言えば「目黒のサンマ」。
江戸庶民の味を初めて知ったお殿様は お城でサンマを所望するが油抜きの蒸し焼きで少しもおいしくなかった。それで「サンマは目黒にかぎる」とのたまわったという落語。

油が乗ったサンマは下魚でした。焼けば煙がもうもう。お殿様の食品ではありませんでした。
それはマグロのトロも同じ。わさびが流通する前は嫌われていました。
しかし下魚ゆえに安価で庶民に好かれ、やがてその味に慣れると日本の代表的な料理になりました。

しかし最近は、海流の変化、資源の枯渇、はたまた中朝の爆漁なのか、高いのは困ります。
流通網の発達で、サンマが刺身で食べられるほど新鮮なままで食卓に上がるようになったのはうれしいことです。
初めて秋刀魚の刺身を食べた時はびっくりしたものです。

サザエさんの漫画でも七輪の上のサンマをドラ猫が盗んでいくのはおなじみです。
生のサンマは塩焼きが庶民の味でした。
佐藤春夫がサンマを秋刀魚と表記してから秋刀魚と書くのが普通になったそうで、それ以前は「三摩」など、いろいろな書き方があったそうです。

その佐藤春夫が歌った 「さんま苦いか塩つぱいか」 という 「秋刀魚の歌」 のワンフレーズは多くの人になじみのことでしょう。

   「秋刀魚の歌」佐藤春夫  『我が一九二二年』に掲載

  あはれ秋風よ
  情(ココロ)あらば伝へてよ
  ――男ありて
  今日の夕餉(ユウゲ)に ひとり
   さんまを食(クラ)ひて
  思ひにふける と。

  (中略)

  ――男ありて
  今日の夕餉に ひとり
  さんまを食ひて
  涙をながす と。

  さんま、さんま
  さんま苦いか塩つぱいか。
  そが上に熱き涙をしたたらせて
  さんまを食ふはいづこの里のならひぞや。
  あはれ
  げにそは問はまほしくをかし


実は、佐藤春夫と谷崎潤一郎、そして谷崎の妻千代との間に深刻な問題がありました。
「秋刀魚の歌」に登場する 「男」 は佐藤自身で、その間の複雑な事情・心情が歌いこまれています。(中略した部分に)

サンマに塩を振りすぎたとか、腹ワタは苦いとか、そんなことではなかったのですね。
一人焼いたサンマを食べて涙する男、他方には焼いたサンマに歓声を上げる市井の人々。
まさにもの思わせる秋の景色を切り取った一編です。

「さんま苦いか塩つぱいか」 というフレーズは佐藤春夫の詩歌にかかわらず、箸をとり舌鼓を打つ様々な庶民の期待の心を表したものとして独り歩きしていますが、それはそれでいいんじゃないか、と思っています。


 
 
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