★紫色のホタルブクロ

ホタルブクロ
   庭のホタルブクロは白花が先行し、紫色のはやや遅れて花が咲

この近辺には未利用の空き地が多く、そんな場所にはホタルブクロも自生しています。
もっとも、環境美化の名目の下、草刈り機で刈られてしまうことが多い。

庭の白花ホタルブクロはそんな野生のものを救出して移植したもので、紫色のは知人から分けていただき植栽したものです。
ホタルが舞う季節になると咲く花で、昔の子どもらは捕らえた蛍をこの花に閉じ込めてほのかな灯りを楽しんだのでホタルブクロというらしい。
優雅な名前だと思います。

なんとなくホタルの光には心が奪われる怪しい引力があります。
死んだ人の霊魂が蛍の光になって飛んでいる――そんな雰囲気をわたしも少しは感じます。
野坂昭如の「火垂るの墓」は題名からして、主人公が死ぬことが暗示されています。
野坂にとって、ホタルは死んだ妹さんの化身だと思えることでしょう。

日本書紀によると、アマテラス一派の日本侵略(天孫降臨)はそう簡単ではなかったことが語られています。
この列島はわが子孫が永久に治める国だと宣言し、先遣隊を派遣したのに逃げ帰ってきました。

――「あの葦原中国は、蛍火のように光り輝くたくさんの神々、また蠅が騒ぐような悪しき神々がおり、また草木ことごとくによくもの言いいます」――

金属器と稲作を経済原理とするアマテラス一派にとって、縄文人が生きてきた日本列島は悪しき神々が住む恐ろしい場所に見えたようです。
ホタルは悪しき神々(縄文人)の生命力の象徴のような扱い方がみてとれます。
うっそうたる森林も戦乱の続いた大陸からの侵略者にとっては不気味だったのでしょう。

たぶん仏教の進展にともなってだと思います。ホタルの光は悪しき神々の象徴から死者の魂の象徴へと変化していきます。
平家ホタル、源氏ホタルといういい方も輪廻転生、諸行無常を現代人にも伝えています。
悪しきものから懐かしきものへとの価値の変換が起きました。

それはそうと、ホタルにはもう一つ思い出があります。
若いころ、丹沢山塊の鍋割山に泊まりました。
山荘のご主人から丹沢には山の中に光輝くホタルがいると教えられました。
実際その通りで、驚き、得した気分になったものです。

後になって調べたことですが、川辺のホタルよりも山のホタルの方が多数派なのだとか。
人口の九割以上が農民だった時代には、山のホタルなど眼中になかった、知る意味のない知識だったのでしょう。山で暮らす人以外はその事実を誰も知りませんでした。
丹沢のその山稜にホタルブクロが咲いていたかどうか、まったく覚えていません。


 
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