★杉玉は新酒完成の合図の標(シルシ)

杉玉
   いすみ市大原の木戸泉酒造の巨大杉玉

直径は2mもあるそうで、重さ500kgを越す。木戸泉酒造の入り口・冠木門の上部にどっしりと飾られています。
これだけ大きいと、丸い形状を保つために内部は空洞。周囲は鉄筋でできています。
鉄筋で地球儀みたいに丸く形を組み、そこに金網を張り、その金網の眼に杉枝を万遍なくぎっしり差し込み、最後に電動バリカンで見栄え良く仕上げます。

先日26日(土)、ボランティアさんを含め、大勢で一日がかりで仕上げたそうです。
クレーン車が来て茶色くなった古い杉玉を取り外し、新しい杉玉をセットして完成。
新酒の初売り出しは29日(火)。さっそく行ってきました。

購入したのは
  初しぼり 本醸造 無濾過生原酒――――――4合瓶 1200円――いわゆる清酒
  初しぼり にごり酒 本醸造無濾過生原酒――4合瓶 1200円――白濁した濁り酒

お酒の神様はローマ神話ではバッカス、ギリシャ神話ではディオニュソス。
どちらも日本では比較的よく知られています。
では、日本のお酒の神様の名前は? と問われると困ってしまう人が多い。

京都の松尾神社は日本酒製造の神様として有名ですが、
わたしとしては、奈良の大神(オオミワ)神社は歴史時代以前からの伝統があるのではないかと思っています。

大神神社にはある杉の切株が大切に保存されています。かつて杉玉の材料となる杉枝を提供した杉の古木でしたが、寄る年波に勝てず伐採された残り株です。
新酒ができると、この杉枝を束ねて神様に報告し、あわせて市民にも知らされました。
杉束が後に杉玉に変化し、杉玉は酒林とも称されるようになりました。

大神神社に関して日本書紀に二つの歌が掲載されています。
第十代崇神天皇の世、掌酒官・活日(イクヒ)が、神酒を天皇に献じた時の歌。
――この神酒(ミキ)は我が神酒ならず 大和なす大物主(オオモノヌシ)の醸(カミ)し酒 幾久(イクヒサ)幾久――

応神天皇の時、宴会の時の歌
――この神酒は 我が神酒ならず 薬(クシ)の神 常世(トコヨ)に在ます 石立たす 少名御神(スクナミカミ)の豊寿き 寿き廻し ――

大神神社はご神体を三輪山とする最も古い神社ですが、オオクニヌシ、オオモノヌシ、スクナヒコナを祭っています。
アマテラスを祖先神とする一族が奈良平野を征服すると、一時期、敗残者の信仰は抑圧されますが、人々は昔からの神様--オオモノヌシやスクナヒコナを忘れませんでした。

このお酒は誰が作った? 私じゃありません。オオモノヌシ様です。スクナヒコナ様のお陰ですと杜氏(トウジ=酒造技術者)は古くから考えてきたことが記録されていたわけです。
神様に感謝する形として杉の枝を束ねたのが原初的な形です。

なぜ杉の枝?     
おそらく酒造りの桶が杉だからでしょう。松でも桧でも桂でもなく杉。
お酒の神様は杉に木に降りるんでしょうね。
それで新酒完成のお知らせとして、お神酒をに添えて杉の葉を重ねて御礼とした――そんな伝統が今でも、外房でも残っているのです。

今シーズンの新酒。最初の一杯は、オオモノヌシ様、スクナヒコナ様に感謝してから頂くことにしましょう。



 
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