★ススキの花穂は赤味がかっている

ススキ2
    近所の路傍で撮影。穂の色が赤味がかっているのがわかる。

箱根仙石原のススキが見ごろで、毎日、大量の観光客が押し寄せていると言います。
たしかにそこは一面のススキ野でたいしたものです。
箱根に行ったら一度は歩いてみるべき場所だと思います。

新聞紙上では“白銀のススキ”とありましたが、観光協会では“黄金色のススキ”。
さて、本当は何色なのでしょう?

ススキを間近で見れば、画像のように白銀色でもなく、黄金色でもありません。
概念的で通り一遍の常とう句の表現は現実を反映していません。

その点、昔の人は素直で、見たままに表現しました。
     真赭( まそお、まそほ、ますお、ますほ)の芒(すすき)

ところが、「赭」なんて見たことも聞いたこともない漢字です。
まして 赭と真赭の違いなんて知りようがありません。
調べてみたら、赭は暗い茶色。真赭はそれよりも明るく朱色に近い色のようです。

奈良・平安時代の人はススキの色を真赭と表現しました。リアルですね。
真赭色の花穂だから略して“赭花 オバナ” これが 尾花 の語源でしょう。
動物の尻尾に似ているから尾花というのは、たぶん、こじつけだと思います。

ポイントは朱色に似た色だという点にあります。
朱色は魔よけの色として尊重され、古墳時代の棺桶には辰砂(シンシャ)という硫化水銀化合物から取り出した朱が防腐効果も狙って一面に塗られていました。

朱色をおびたススキが神聖視されたのはその点にあります。
ここいすみ市の秋祭りでは榊(サカキ)とススキが飾られます。
ススキによく似た荻(オギ)で済ますわけにはいきません。
なぜならオギの花穂は赤みを帯びていませんから、神通力がないのでしょう。

遠目にはどちらかと言うと薄茶色に見えるのがススキです。
月に映えれば銀白色。夕日に映えれば黄金色。
でもそれは本当はススキの色ではありませんでした。

ススキの花穂は今も昔と変わらず真赭色。
ぜひ一度、その目で確かめて下さい。
十五夜は過ぎてしまったけれど、ちょっと刈り取って窓辺に飾り、その生命力のカケラを頂いた昔の人の気分になってみましょう。


 
 
 
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