★あれもナス、これもナス、みんなナス。

ナス
    a.b.c.d.e 色も大きさも形が違ってもみんなナス。頂き物です。

もうずいぶん昔になりますが、新聞に次のような投稿記事がありました。
小学生のテストで、様々な野菜のイラストがあり、その名前を答えます。
ナスのイラストにナスビと書いたら×だった。はたしてナスビは誤答なのだろうかという趣旨だったと思います。

その先生はナスの本名がナスビで、ナスは略称語だということを知らなかったのでしょう。
ナスと言うか、ナスビというか、住む地域によって異なります。

ナスビさんというタレントがエベレスト登頂に成功して話題になりました。
彼は福島県の出身で、福島や東北ではナスではなく、ナスビです。
顔が黒くて面長、親しみやすい人柄だからナスビさんなのでしょう。

子どもが間違えたとき、なぜ間違えたかを考えるのが教師の仕事です。
なぜナスビと答えたのか、そこに気が回れば、ナスビに×印をつけることはなかったことでしょう。
あるいは、模範解答が手元にあり、その通りに〇×をつけただけかもしれません。

相手が子どもであるからこそ、簡単に「バカじゃないの」なんて言ってはいけませんね。
正誤表や自分の常識の方が間違っているかもしれないという謙虚さはいつでも、だれにでも必要なことでしょう。

ナスを茄子と書いて、ナス(ナスビ)と読むのは不可能です。
奈良時代の正倉院文書には『奈須比』献上の記録があり、『奈須比』とはナスビのことだそうです。
つまりナスビは和名、和語ですから、奈良時代になって輸入された舶来作物ではなく、
もっと古くから列島で親しまれてきた作物だと推測できます。

茄子を中国語と韓国語で調べてみました。
中国語のナスビは茄子。チーズみたいに発音し、なんとも不可解。
韓国語では가지(カジ)ですから、それが茄子だとすればなんとなく納得出ます。

大陸で茄子という野菜が日本ではナスビという。
奈須比と書くのはちょっと野暮なので、茄子というハイカラな漢字を使うようになっても、話し言葉ではナスビという昔からの名前が通用したのでしょう。

やがて、宮中の女房言葉から、おナス という隠語が生まれ、さらに省略されてナスという単語が生まれて広まりました。

東北地方で、ナスビというのは少なくとも奈良時代以来の由緒ある単語でした。
文化の中心であった西日本では、ナスという流行り言葉が定着したのでしょう。
都から遠い地方の単語には、時として古い時代の日本語がそのまま保存されていることがあります。


 
 
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