★ヘクソカズラ(屁糞蔓)とは、なんとも気の毒な

ヘクソカズラ
   白地に赤い小さな花 花びらが筒状になった合弁花

世の中にこんな気の毒な名前があるんですねぇ。
奈良時代はクソカズラという名だったのに、いつのまにか、「ヘ」までくっついて、今では標準和名が「ヘクソカズラ」。

野草の花としてはかわいい花だと思います。
――鬼も十八、番茶も出ばな、ヘクソカズラも花盛り――というのだそうです。

花の名を知らなかったころ、採集してきて図鑑で調べて驚きました。
――屁や糞便の臭い成分であるメルカブタンのひどい臭いがするのが名前の由来――

わたしが驚いたのはひどい名前だということよりも、そんな異臭はしなかったということです。
ハサミで細い茎をカットして採集しましたから、異臭には気づかなかったのかもしれません。

植物は動物のエサになることを拒否し、バラやタラノメのように鋭いトゲで身を守る種類があります。
エグ味やニガ味、辛味で武装している種類は多くあります。

究極の武装が毒を持つことでしょう。世に毒草は数々あります。
そしてこの花は異臭で武装し、馬やヤギなどが葉を食べた瞬間に揮発性のメルカブタンを生じ、『なんだこれ、腐ってる』と思わせて退散させる高等戦略です。

メルカブタンとは、かの有名なスカンクやイタチの強烈な屁の臭い。
都市ガスやプロパンガスにはガス漏れを検知しやすいように、メルカブタンが加えられていると言います。

ところが、上には上があるもので、この悪臭を屁とも思わぬ昆虫がいるのだそうで
その名は、ヘクソカズラヒゲナガアブラムシ。
このアブラムシはヘクソカズラの汁を吸い、その悪臭を自分の武器に転用してしまうので、アブラムシの天敵であるテントウムシも寄り付かない、といいます。

この関係は、ウマノスズクサとジャコウアゲハに似ています。
毒草であるウマノスズクサは誰も食べないが、唯一ジャコウアゲハだけは毒に当たらず、毒を体内にため込み、自らが毒蝶となります。
そのため、スズメなどの小鳥類はジャコウアゲハを襲いません。

生存競争を生き抜くためには、あえて危険な狭い道を選び、それゆえ生き延びることに成功した種族です。

人間世界には、勿論そのままあてはまりませんが、多少は参考になります。
ピンチはチャンス。そこに生き残る一筋の道がある。

でもね。逆境にめげずと思いますが、多くの人は毒気にあたってアウト。
それもまた 人間らしくて、それでいいんじゃないかな。
情けないけど、みんなが英雄じゃないんだから。

大会4連覇をねらった吉田沙保里さんに、お母さんがこう言いました。
   “『霊長類最強』と言われても、私の娘です。人間です。”

01年から続いていた個人戦の連勝記録は「206」で途切れましたが、その間、206人が泣いたわけです。泣かせてきました。
その意味で彼女こそ真の英雄です。
そして、敗れたからこそ人間です。銀メダルは泣いて謝罪することはありません。
新しい時代が来たことを認め、新しいチャンプを寿ぎましょう。


 
 
関連記事
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント