★地獄の窯のふたが開くころ、ハグロトンボ

羽黒トンボ
    羽は真っ黒、体はメタリックに輝くハグロトンボ(羽黒蜻蛉)♂

ハグロトンボに出会ったら必ず近くに清い水の流れがあります。
先日、東京から遊びに来た友人を誘ってチバニアン――地磁気逆転層を見に養老渓谷に出かけました。
そこでたくさんのハグロトンボに出会いました。

地球は大きな磁石だから、方位磁針は必ず北を示すのが常識ですが、長い地球の歴史の中では、磁極が動き、Nの方位が南を指す時代があったことを示すのがチバニアンという地層です。

方位磁石がグルグル回って北が定まらない――なんてことはなく、見た目はただの渓谷で、何のおもしろさもないのですが、友人たちは気に入ってくれました。

そこで出会った無数のハグロトンボも印象的だったようです。
チョウのようにひらひらと飛び、羽を立てて止まる特徴があります。
東京では絶滅危惧種ですから、しげしげと眺めて感心していました。

ハグロトンボは5~10月に見られますが、特に7月から8月に多い。
7月8月と言えばお盆の時期。そのころに多数出現することから、仏(ホトケ)トンボ、神様トンボの異名があります。

地獄の窯のふたが開き、地獄に閉じ込められていた亡者ども、魑魅魍魎(チミモウリョウ)が地上に舞い戻る時期です。
そんな時期に、ご先祖様もこの世に戻ってきます。

海のかなた、山のかなたからご先祖様が戻ってきますが、その通路は川が基本です。
だから精霊流し、盆灯篭は川に流すか海に流します。
海のかなたの空は山のかなたの空とつながっているとも信じられました。

ところが帰る場所のない亡者どもが、川や海に近づいた人間をあの世に引きずり込むのだ、だから海や川の事故が多いのだとも信じられました。

子孫断絶で帰るあてのない亡者であっても、生前は善人であった人もいることでしょう。
死後、六道輪廻(リクドウリンネ)のどこに生まれ変わるか未定であっても、盆の時期は地上に戻ります。
その時の姿が、蝶であったり、トンボであったり…。

だからこの時期のハグロトンボは、川筋に多く、仏トンボ、神様トンボであったりします。
けっして捕まえていじめたり、殺したりしてはなりません。

ご先祖様かも知れないし、身寄りのない方の化身かもしれません。
殺生を慎み、功徳を積めば「情けは人の為ならず」。良いこともあるでしょう。

そんな昔の人の考え方・生き方も素敵だなと思います。


 
 
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