★花は夜開く――カラスウリ

からすうり
          カラスウリの雄花

秋になると真っ赤に輝くカラスウリの実を愛する人は多く、よく写生画の題材に選ばれます。
画像はそのカラスウリの花で、今がちょうどその季節です
夕刻から花開き始め、周囲が真っ暗になると全開します。
複雑なレースのような花びらは何と言えず怪しい美しさがあります。

雌雄異株で、雄花だけの雄株と、雌花だけの雌株とがあります。
植物は一つの花にオシベ・メシベがあるのだと思っていたら、カボチャやキュウリなどのように一つの苗に雄花・雌花が別々につく種類があり、家庭菜園を始めてから、変なの、メンド臭いなぁと思ったことがあります。
カラスウリはもっと変ですね。雌雄が別々の個体ですから。

雌雄のどちらの花か、一見するとほとんど区別できませんが、カボチャと同じように区別します。
つまり、花のつぼみの付け根をよく見ると、将来、実となる子房部分が膨らんでいるのが雌。すっきり何もないのが雄だと簡単に区別できます。
通常、花びらは5枚なのに、時々6枚の時もあり、6枚の方がレースの量が多くて豪華です。

さて、夜に花開いてどうするんだと心配する人がいるようですが、心配いりません。
夜には夜のお客さんが来ます。
それはスズメガ(雀蛾)。スズメガさんが上得意先です。

胴が太く、鱗粉が多い蛾で、羽は三角形ですからまるで三角翼ジェット機。
スズメガの幼虫はケバイ色彩でぶっとく大きく、しかもツノがあり、大食漢の害虫として嫌われています。
昼間活動する同類にオオスカシバがいます。

オオスカシバがホバリングが得意なのは スズメガの仲間だからかも知れません。
スズメガはホバリングしながらストローのような口吻を伸ばして蜜を吸います。
ホバリングし続けるのは、たぶん、疲れるでしょうね。

カラスウリのレースの花びらはとても繊細なので、花びらに着地して蜜を吸うのは困難だという話です。
それでスズメガはホバリングしながら蜜を吸う。

カラスウリの蜜壺は表面に見えるレースの中央のまとまったオシベ群、または分裂したメシベのその奥にあり、スズメガのストロー程度の口吻でないとその蜜壺に届かない。

するとどうやら、カラスウリは最初からスズメガだけをお客さんにして商売しているような気がします。
雄・雌別々の個体が結び付くには仲人が必要です。
スズメガが確実に両者を斡旋(アッセン)してくれるようにカラスウリは望む。
スズメガは他を排除して雄花・雌花の蜜を独占できることを望む。
両者の利害が完全に一致しているように思えます。

妖艶なカラスウリのレースの花は、「スズメガさん、こっちにいらっしゃい、おいしい蜜がありますヨ」 というディスプレーなんですね。
ま、いいか。それに騙されて身ぐるみはがされ、命を奪われるわけでもなく、共存共栄なのですから。
夜の花と言っても、そこが人間世界とは違うようです。


 
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