★右か左か、内裏様

武士の家計簿
   磯田道史さん原作の映画『武士の家計簿』の一場面。
   新郎(堺雅人)は向かって右。新婦は仲間由紀恵


3月3日はひな祭り。
お内裏様とお雛様をどうセットするか、悩むところです。

というのも昔からの伝統にしたがえば、男雛は向かって右です。
ところが、最近は東京方式の、向かって左が主流で、右に置いたりすれば世間知らずに思われかねません。

童謡『うれしいひなまつり』(サトウハチロウ作詞)はひな祭りの歌として広く親しまれていますが、その歌詞はかなりデタラメです。

最上段に君臨する男雛・女雛は天皇・皇后を模しており、二つセットで 「内裏雛」。
これをハチロウは内裏と雛に分割し、男雛をお内裏様、女雛をお雛様と名付けてしまいました。
(ふつうは男雛、女雛。あるいは殿と姫)

もう一つ。 “赤いお顔の右大臣”  は左大臣の誤りです。
右大臣と左大臣とでは左大臣の方が身分が上です。
お雛様では左大臣が老人、右大臣が若者のお顔であり、それで身分差を示しています。
赤いお顔は、白いお髭の左大臣像で、向かって右。

ハチロウは向かって右だから右大臣だと誤ってしまったわけです。
京都市左京区は向かって右、東側の地区ですね。
右か左かは天皇から見ての右・左であり、下々から見ての右・左ではありません。
左近の桜も同様で、桜は向かって右。橘は左にセットします。

天皇は南面して座すのがしきたりで、すると左側は日の出の方向、東になります。
日没の方向・右(西)より、左・東が上位というのは納得できる感覚です。

国技館では正面から見て左が東。
向こう正面から土俵を見ると、貴賓席と正対し、右方向が東。
番付表では東の正横綱が最上位です。

芝居では向かって右を上手(カミテ)、左が下手(シモテ)といいます。
向かって右が「上」なのは、向かって右の左大臣が「上」と同じです。
そういえば上手はじょうず、下手はへたとも読みますね。

右か左かは、お雛様のセットの仕方のみならず、日本文化に深くかかわってきました。
その伝統を破壊したのは昭和天皇の即位儀礼であったと言われています。

もちろんヒロヒトさん個人の問題ではなく、当時の政府の意向として欧米の習慣を正式に取り入れ、向かって左が男(天皇)、右が女(皇后)としました。
(即位儀礼の時は中央が天皇、右側一歩下がって皇后。この小細工で皇后が天皇より上位という印象を防ぎました)

この新方式に飛びついたのが東京の雛人形屋さんたちで、それ以後、男雛が左という飾り方が今では全国制覇する勢いです。

結婚式でも上記画像のように昔は新郎が向かって右だったのですが、琴奨菊の披露宴では大関は向かって左でした。

今の時代のことですから、右でも左でも、どっちでもいいじゃないか思います。
最近は奥様の権力の方が日の出の勢いですから、向かって右、つまり東に位置するのは奥様だという並び方は時代のすう勢なのかもしれません。

しまりのない顔の琴奨菊と比べると 奥様はしっかり落ち着いていらっしゃる。
すでに勝負はあったと思えました。東の勝ちです。




 
 
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