★逆光のガマの穂綿

蒲の穂
   夕方の散歩道。逆光を浴びた蒲の穂綿が美しい。

ススキの穂が蘇芳色から銀白色に変わり、ホワホワになってくると秋が深まってきたことを感じます。
同じ頃、湿地帯の蒲の穂もホワホワの綿毛に変化してきます。

蒲の穂がこんな風に変化するとは、こちらに来るまで全く知りませんでした。
文部省唱歌 『大黒様』 の歌詞にある蒲の穂綿とはこのホワホワの綿毛のことなのでしょう。
この穂綿ならば、ワニに皮をはがされて赤裸になったシロウサギ(素兎)のただれた肌を包帯のようにしてくるまれば良いという大黒様の指示も納得がいきます。

しかし作詞者の石原和三郎は漢方薬の知識がなかったようです。
肌の切り傷、火傷、ただれに効くのは蒲の黄色の花粉であり、穂綿ではありません。
ガマの黄色の花粉を漢方で『蒲黄』といいます。

古事記原文では「即取其水門之蒲黄、敷散而、輾轉其上者、汝身如本膚必差」
――河口の蒲の黄色い花粉を取って敷き散らかし、その上に寝転べば汝の身体は必ず本来の肌になるであろう―――
『蒲黄』だとちゃんと書いてあります。

それなのに、穂綿と書いてしまったのは石原の思い込みであり、文部省の役人も歌詞の誤りをうっかり見過ごしたのでしょう。
明治初期はそう簡単に『古事記』が入手できず、原文と照合するのは困難だったのかもしれません。

今、手元に『古事記』を持っていますが、ページをめくるよりネットで調べる方がずっと簡単になりました。
便利な時代になりましたが、間違った情報もあっという間に広がる時代です。

マンションの基礎杭打ちデータのコピペなんかも簡単ですからね。
信頼で成り立っている世の中で、信頼を裏切る事態があちこち出てくるのは、どこか間違っている、どこか無理がかかっている証拠なのでしょう。


 
 
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