★いすみ市、ネジバナの季節

ねじばな2
    ラン科なので、一つひとつの花は小さくても凝っており美しい

花がぐるりとねじれながら咲くのでネジバナ。
不思議なことに、右回りに咲く花と左回りとがあり、それどころか ねじれないで一列になって咲く花もあるのだそうです。

このねじれ具合が、激しい恋の病で身をよじっている姿に見えるので

    陸奥(ミチノク)の しのぶもちずり 誰ゆえに 乱れ染めにし われならなくに
                         百人一首14番 河原左大臣 源 融(ミナモトノトオル)

この歌にちなみ、ネジバナは文字摺(モジスリ)、忍草(シノブグサ)とも言われます。

ところが、ネジバナとこの歌は本当は無関係。
しのぶもちずり  とは福島県信夫郡特産の絹織物の染色法で、シワシワの岩に絹布をあて、藍や紅花などで色付けすると、何とも摩訶不思議な乱れ模様の絹布になります。

この布が京都の宮廷貴族の間で 「乱れ模様が良いんだよね」 と、もてはやされて有名になりました。
これが陸奥のしのぶもちずりで、福島県では、信夫文知摺 という文字をあてます。
今日でも当時の岩が現存しているといいます。

河原左大臣の歌があまりに有名なので、
    松尾 芭蕉    早苗とる 手もとや昔 信夫摺
    正岡 子規    涼しさの 昔をかたれ 忍ぶずり 
などの歌が生まれました。

それはともかく、身をよじったネジバナも風情があり、いすみ市を代表する6月後半の花です。
ところが今年、写真を撮ろうとして愕然としました。
私の知っ ている自生地4か所のうち、出会えたのは1か所のみ。
3か所はどうやら草刈り払い機でやられてしまったようです。

刈っても刈っても復活する雑草と違い、ネジバナの繁殖力はとても弱い。
なにせこの花の種はけし粒よりさらに細かい微粉末で胚乳がありません。
ある種の菌と出会うことによってのみ発芽するという特殊な植物です。

以前、庭に移植したことがありますが翌年は芽を出しませんでした。
移植も難しいのですから、
今、咲いている場所があったらぜひ大切に保護してやって下さい。


 
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