★いすみ市の毒草、クサノオウ

クサノオウ
    ヤマブキに似た美しい花で、オシベが目立ち、まるで王冠のようだ

むかし、某新聞に<花おりおり>という小欄があり、尾崎紅葉が胃がんにかかったとき、弟子の泉鏡花たちが治療に使うクサノオウを探し回った――という記述があり、記憶に残りました。
いすみに移住して、はじめてであった時は、貴重品に出会ったように驚いたものです。

♪ 熱海の海岸散歩する寛一お宮の二人連れ…ご存知 『金色夜叉』 の名場面。
原作者・尾崎紅葉は37歳の若さで胃がんのために1903年(明治36年)10月30日に死去します。

         死なば秋 露の干ぬ間ぞ 面白き・・・・尾崎紅葉・辞世

当時、いや最近まで胃がんは不治の病でその痛みは激しく、看病する者にとっても忍び難いものだったそうです。
科学的な鎮痛剤がなかった頃は、このクサノオウは 『白屈菜』 という漢方薬で知られており、神経の麻痺、鎮痛薬として処方されました。
毒をもって毒を制する、まさに毒と薬は紙一重の世界だったわけですね。

茎葉を傷つけると出てくる黄色い汁にうっかり触るとかぶれ、炎症をおこすので要注意。
皮膚をひどく荒らすという性質を利用して皮膚病の薬としても知られていました。
日本全国ではクサノオウの別名が数多くあります。例えば、イボトリ、イボグサ、タムシグサ、ドクノオウ、チドメグサなどなど。

しつこい皮膚病を昔は「瘡 クサ」といいました。だから、瘡の王。
いや、黄色い汁を出すから、草の黄。瘡の黄。
そうじゃない、いろいろ役立つから、薬草の王。
名前の由来は諸説あり、決定打はありません。

黄色い汁に触れたために炎症を起こすくらいならまだしも、
うっかり口に入れれば嘔吐、下痢、昏睡、呼吸麻痺、手足のしびれを起こし、
時には死亡する場合もあるというから極めて危険。第一級の毒草です。
人によっては花に近づいただけで皮膚がかぶれたりするらしい。

いすみ市ではごく普通の雑草で、今の時期、7月頃までどこにでも咲いています。
美しいから一輪挿しにしようだなんて考えてはいけません。
オシベが豪華な黄色の四弁花。
危険な草ですからしっかり記憶し、子どもらに触らぬようにと教えてください。



 
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