アジサイの季節です

   
        雨に煙る近所の民家

6月の風物詩はアジサイです。梅雨にアジサイ、そこにカタツムリの図柄は日本人共通の心象風景でしょう。
連日のようにどこそこのアジサイが咲き、見物客で大変なにぎわいだとかの報道がなされています。

そこでの報道をよく聴くと「西洋アジサイや額アジサイが盛りで…」と言っております。
わたしたちがよく知っているアジサイは日本原種ではなく、西洋アジサイです。
これはビックリです。
日本原産のアジサイは額アジサイ・山アジサイなどで、普通のアジサイは西洋から逆輸入で広まったものです。

ヨーロッパにはアジサイがなく、幕末にシーボルト博士が日本から持ち帰りました。
その時にアジサイの学名として Otakusa という名前をつけています。
シーボルトさんの愛人・お滝さんに由来すると言われています。
お滝さん=楠本滝との子が日本初の女医「楠本いね」です。

学名というのはラテン語で長ったらしいのですが、最初の言葉がHydrangea。
英語読みするとハイドランジア。直訳すると毒水蛇の竈カマド。
どう考えても日本人の感覚に合いません。

ハイドラ(ヒドラ)の原意は水の意味で、水素をハイドラジェン(ヒドラゲン)と言います。
ハイドラ(ヒドラ)とはギリシャ神話に登場する邪悪で不死身の海蛇・水蛇。
頭がたくさんあるといいますからヤマタノオロチみたいなものですかね。
アジサイの花が一つの茎から多数の花を咲かせることから想像したようです。
この怪物はヘラクレスによって退治され、天空のウミヘビ座になっています。

空想上の怪物・ヒドラの猛毒はギリシャ人にはよく知られており、それがアジサイの学名につけられた理由はアジサイの葉にあるようです。
葉には青酸性の物質が含まれており、おろかな調理人が紫蘇の葉の替わりに出したためにお客が中毒症状を起こしたというニュースがありました。

実はカタツムリも牛も鹿もアジサイの葉は食べません。毒があることを知っています。知らないのは日本人だけ?で学名は危険な植物だと暗示しています。

もう一つ、ヒドラは首を切られても切られても本体が残っていれば復活します。
これは挿し木の容易さを示しているのですが、西洋人には“不死身”と考えられたようです。
さらにもう一つ。西洋アジサイの花は枯れても散りません。咲いていた姿のままで枯れていきます。それもまた不死身を連想させたのでしょう。

西洋文明では全ての生き物は「死すべきもの」であって、不死身のものは神の領域か悪魔の領域に属します。
アジサイが学名の上では悪魔の領域に属しているのは気の毒なことです。

それにもかかわらずアジサイを弁護するとすれば、アジサイの花は食べられます。
禅寺の山菜料理に出ていますから、大丈夫でしょう。
普通は天ぷらにするそうですが、まだ食べたことはありません。
花は食べられる――これはシーボルト先生も知らなかったことのようです。

 

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