★大原出身の歌人『父 矢代東村』が発売されました。


    立派な装丁で、中身がぎっしり詰まった作品です。

矢代東村(ヤシロトウソン)の歌碑は大原海水浴場の裏手、日在浦海浜公園にあります。
偶然、その歌碑を見た時にいい歌だなぁ、矢代東村って誰だろうと思って少々調べ、2012年に5回にわたって当ブログにアップしました。
大原の旧東村(アズマムラ)出身の歌人・本名・矢代亀廣(1889-1952)は東京で活躍し、いくつかの号を持っていましたが、東村(トウソン)に落ち着いたのは出身地に捨てがたい愛着があったからでしょう。

著者は小野弘子さん。『短詩形文学』 誌上に父・東村について連載した記事が元になっています。
著者もまた歌人であり、その文章は無駄がなく、淡々として平易であるがゆえに強い説得力を持ちます。

東村の足跡をたどりながら、はからずもそれは大正昭和の世相と歴史を振り返ることにつながり、近代短歌のあるべき姿を求めた多くの歌人たちの歴史をたどることになります。
もちろん東村伝記ではありますが、時代を追った東村歌集でもあります。
歌論であり、評論であり、時には推理小説を読むような緊迫感があります。
最近のわけのわからない小説よりもずっと面白い。
文章に過剰な思い入れがなく、さらりと客観的な事実を積み上げていく文章は、逆に弘子さんの父上に対する尊敬と愛情が滲み出ていることを読みながら感じました。

一昨年、大原の図書館に「東村の資料があったら読みたいのですが…」と訪れた時、司書さんはちょっと困った顔をして「実はあまりないのです」と言って連載されていた『短詩形文学』のコピーを貸し出してくれました。
今回、ようやく東村についてまとまった本が出版されて良かったと思っています。
東村の人となりとその歌についての集大成といえましょう。

読んでみればわかるのですが、東村は偉大な歌人でした。愛情深い父親であり、弁護士としても立派な足跡を残しています。
3500円と少々高価なので、いすみ市の図書館や学校が地元出身の歌人の資料として購入することを期待します。
いすみ市の誇りとする人物でしょう。
東村の生き方に現代人は学ぶことが多々あることと思います。

大原出身の弁護士歌人、矢代東村(1) 
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