★玉虫色は玉虫の翅の色 


  見る角度によって光り方が異なる。

ある人から、玉虫色って理解できない、どういう意味かと聞かれました。
よく話してみると、その人はタマムシをダンゴムシと勘違いしていることが判りました。
ダンゴ虫は危険を感じるとコロコロ丸くなる。つまり団子になるのでダンゴ虫と言うのですが、その人は丸い玉のようになるからタマムシだと覚えてしまったようです。

本物のタマムシを見たことがない人が増えていますが、いすみ市では毎年必ず何匹かは見かけます。
「黄金虫は金持ちだ、金蔵建てた、家立てた」と歌われるコガネムシよりもずっと高貴で金持ちのような気がする昆虫です。
手で捕まえても悪さしませんし、おとなしい性格です。

このタマムシをタンスに入れておくと一生着るものに困らない俗信があり、けっこう日本中に広まっていたようです。
他にもタマムシを持っていると着物が増える、恋がかなう、悪い虫がつかない、幸せになる、などと地域によるバリエーションがありました。

それで「幸せを呼ぶ虫」として、江戸時代に玉虫を売る業者さえいた記録があります。
なんでも商売のタネにしてしまう江戸時代の人の商魂ってすごいです。
あやしげなお札や観音像を高額で買うよりも、タマムシをそっとタンスに忍ばせておく方が素敵ですね。

タマムシを摘まんで色々な角度から眺めてみると七色に光り輝き、美しい翅だなと思います。
植物と違って退色せず、いつまでも光り続けます。
法隆寺の「玉虫厨子」はさすがに1300年近く経過しているので真っ黒けな印象で、「どこが玉虫か」と思いますが、実物を見るとそれでも数枚は推古朝の輝きを保っていました。

この厨子製作には最低1300匹のタマムシが必要とのことです。
きっと村中総出でタマムシを集めまわったのでしょう。
その時代はそれだけの量を集められるほど自然が豊かであったこともわかります。
ただ「美しい」から素材として採用されたのではなく、もしかすると、その当時から「幸せになる虫」という観念があったのかもしれません。
金色の金具と七色の翅で飾られた厨子に向かって、願主は故人の冥福、永遠の幸福を願って読経したのだと思います。

 

 

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