★九十九里浜は玉浦(タマノウラ)(13) 


  鵜はこの近辺では珍しくない海鳥です 

海のはるか彼方、海王宮殿のお姫様(乙姫様=豊玉姫)の正体は<日本昔話>では特に語られていませんが、古い伝説<浦島太郎>では亀、亀姫様でした。
ところが『古事記』では鮫であり、『日本書紀』では龍になっています。出産のために地上に来るように改変されました。

これは皇室の祖先神話としての権威を高めるためにでしょう。
天皇家の先祖が「亀の子」だったでは権威がありません。
中国に提出する日本の公式歴史書『日本書紀』が龍を採用したのは、皇帝=龍という考え方が日中双方の文化人に広まっていたからでしょう。天皇が龍の子ならば権威に傷がつきません。

幕末から『日本書紀』よりも『古事記』が尊重されるようになり、上総一ノ宮の玉前神社でも鮫説が採用されており、龍説よりも鮫説の方が土俗的な感じがします。

鮫が選ばれたのは恐ろしい海の生物だから。日本では人間の手に負えない恐ろしいものが神様としてあがめ奉られてきました。
それよりも決定的な理由は、“鮫は胎生”だからでしょう。
ある種の鮫は卵生なのに体内で孵化し、子どもを育て出産します。

おそらく古代の海洋漁労民は、「鮫は胎生」をよく承知していたと思います。
亀が出産(産卵)するのは海洋ではなく、浜辺に這い上がってからです。
正体が鮫である豊玉姫が海洋ではなく、地上で出産するストーリーは背後に亀の産卵がイメージとしてありました。
神武天皇の父親が「実は亀の卵から産まれた」ことにはしたくなかったのでしょう。鮫ならば赤ちゃんとして生まれますからね。ヘーッそうなんだと信憑性が増します。

産まれた子どもは“ウガヤフキアエズ”と名付けられました。
出産のための特別の小屋(産屋・ウブヤ)に、鵜の羽を大量に使った屋根がまだ葺(フ)き終わらぬうちに生まれた子という意味です――それが通説です。

しかし鵜の羽で屋根を葺くなんてことがあるでしょうか。大量の鵜を殺戮せねばなりません。
鵜は海中・水中にもぐり魚を獲ます。いわば海のお姫様の支配下にある鳥を自分の産屋のために首を絞めて羽を抜いて屋根にすることをお姫様が許すでしょうか。

瓦葺、トタン葺、わら葺、茅葺、板葺、こけら葺きなど屋根素材は様々ありますが、鵜茅葺など聞いたことがありません。
仮に鵜の羽を屋根材にするならば、鵜羽葺と言うべきでしょう。
鵜茅葺とは何か、通説とは異なる解釈が必要です。

そこで私の勝手な解釈を述べます。
A.九州のある地域では荻(オギ)をウミガヤと言います。
  ウミガヤで屋根を葺いた→ウガヤで屋根を葺いたに短絡したものだろう。
B.茅葺屋根に鵜の羽を何本か刺し、魔除け・呪術的効果をねらったものだろう。

なにせ神話時代ことですから実証的な根拠はありません。
机の上での思案に過ぎません。
何の役にも立たないことを想像するのも田舎暮らしの楽しみの一つです。

 

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