★九十九里浜は玉浦(タマノウラ)(7) 


画像は太東出身のプロサーファー河野正和さんのブログ→●より引用

いすみ市は海亀の上陸・産卵地として知られており、画像は太東海岸の海亀です。
太東が産卵地の北限だと聞いていましたが、実際にはさらに北の一宮や白子海岸でも海亀の保護活動が活発に行われています。

海亀と言えば“浦島太郎”ですね。この話は歴史書に載っていると知った時は驚きました。

『日本書紀』には
――雄略天皇22年(478年)に丹波国の水江浦(ミズノエノウラノ)嶋子(シマコ)が船に乗って釣りをしていると大亀に出会った。亀は女となり、相携えて蓬莱山(ホウライサン)に行った――とあります。

嶋子が帰国した話は鎌倉時代初期の歴史書『水鏡』に――天長2年(825年)11月、雄略天皇以来347年ぶりに「浦の島子」が帰ってきたが玉手箱を開けて老人になってしまった―――とあります。

その他『風土記』や『万葉集』にも浦島太郎伝説が取り上げられており、全国に同様な伝説がありました。
それぞれ多少異なっていますから、「原・浦島物語」ははるか昔に伝えられ、口承の過程で各地なりに変化したものでしょう。
ポイントは異界=海の宮殿に行った若者が歓待されたが地上に戻ると数百年たっていたという異界訪問型伝説と「見るな」の約束を破る禁忌(タブー)型伝説の組み合わせです。

連載している上総一宮・玉前神社にも関係ありますから話の順にそって検討してみましょう。
まず主人公はどの伝説でも若い漁師です。
助けた亀に連れられてという筋立ては「おとぎ話」だけで、他は釣った亀が美しい娘に変身した、あるいは最初から海辺で美しい娘に会い一目ぼれで海の宮殿へ行ったとなっています。
動機は後付けで、どうでもいいのですね。ともかく漁師の若者が海の宮殿に行くのです。

有名な設問に<太郎が助けた亀はオスかメスか>があります。
わかりますか? 答えはメスです。
産卵のために浜辺に来てワルガキにいじめられたという設定です。
他の伝説でも太郎が出会った亀はメスで、出会った娘は「亀姫」という名前でした。

おとぎ話では亀は海と地上を結ぶ単なるタクシーの役割ですが、諸伝説では乙姫様の正体は亀でした。亀とねんごろになり、歓待されて3年の月日が流れます。

海の宮殿は海中なのか、海の果てなのか、はたまた天の川の近くだという説までありますが、いずれにせよ普通の人間の立ち寄る場所ではなく、そこは異界というべき場所です。
そこで異界の食べ物を食べたという点も重要です。
異界の食べ物を口にすれば普通の人間ではいられず、異界の住民にならざるをえません。
わたしはそこに亀姫の真意が隠されていると思います。
――亀姫は人間界の優秀な男を拉致し、海の世界で永遠に暮らそうとした――。

ギリシャ神話では、冥界の王ハデスに拉致されたペルセポネは、冥界のザクロを数粒食べたために冥界で1年の1/3は暮さねばならなくなった。それで季節は冬枯れとなる、と語られているのに似ています。
日本神話でも愛するイザナミを失ったイザナギが冥界を訪ねると、イザナミは冥界の食べ物を食べたので地上には戻れないと語る場面があります。

ところが太郎は、何不自由のない夢のような生活を送りながら、急に「無断で出奔したのでちょっとだけ両親に会いに行きたい」 と言い出します。

唱歌・浦島太郎では≪遊びに飽きて気がついて、お暇乞いもそこそこに≫とさらりと述べているけれど、3年もの間、美しい娘と若者が一緒に暮し、二人の間に何もなかったと考える方が無理です。
太郎の申し出を聞いた亀姫は…。

                                続きは次週金曜日。
 

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