見つけました御形(ゴギョウ)の若草

セリ ナズナ ゴギョウ ハコベラ ホトケノザ スズナ スズシロ これぞ七草。

「御形」とは「母子草・ハハコグサ」のことで春の七草の一つ。
花が咲けば一目で母子草とわかるのですが、若草の時はなかなか区別が難しい。
スプーンの先端を引き伸ばしたような葉で、若草色のベルベットのような肌触りが特徴です。

太陽暦の1月7日に野山に出かけ、七草を採集しようと思ってもまず無理な話。
温室で栽培された七草セットをスーパーで買ってくるのが関の山。
2月も中旬を過ぎるとようやく野山に七草の素材が見かけられるようになります。

「御形」(ゴギョウ・オギョウ)という立派な名前がついているのは、お人形、お雛様と関係があるからです。
現代のお雛様は豪華すぎて川に流し捨てるような人はいません。
しかし、お雛様の原形は紙で作った人形(ヒトガタ)で、この人形に1年の厄をおってもらって川に流し、本人の無病息災を祈る行事が「ひな祭」の原形でした。

この御形は漢方では薬草に分類され、ひな祭という厄払いの日に、お餅に混ぜて食べると「邪気を払い、魔よけの効果がある」と信じられてきました。
人形祭の草餅にするありがたい薬草だから「御形」という立派な名になったものでしょう。

この草の葉は裏も表も細かい毛が密生しています。このような状態を「ほうけだつ」といい、掃除用具のホウキの語源もここにあります。
ホウケだった草だから俗にホウケグサと呼ばれ、それがなまってホウコグサ。これが正しい和名なのにさらになまってハハコグサ。後に母子草の漢字があてられて広まりました。

ところがいったん母子草という名前がインプットされると、草とはいえ母子をゆでてすりつぶすのはいかがなものか、という疑問が生じ、草餅の材料は同じく春の薬草であるヨモギに替わっていきました。
こうして御形はかつて尊敬された地位を失い、今や雑草として刈り取られます。

地方によっては草餅を「母子餅」と言うそうです。
それはむかし、御形で草餅を作っていたことの名残です。
母子餅――なんとも柔らかく、暖かく、昔の思い出がよみがえるような名前です。
母と子が「おいしいネ」と言いながら食べた草餅の風習はどこに消えてしまったのでしょう。

今月の末、29日(日)が旧暦のひな祭。
御形に敬意を表し、昔ながらの母子餅でも作ってみましょうか。

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