★サルタヒコの星、アルデバラン 


  『星座で読み解く日本神話』(勝俣隆:大修館書店)挿絵より引用
  オリオン座はアメノウズメ座。おうし座のヒアデス星団はサルタヒコ座。

サルタヒコ(猿田彦)と言っても知らない人が多いかもしれません。
『古事記・日本書紀』の神話に登場する国津神(クニツカミ)=土着の神様です。
その容貌は“鼻の長さ約1.2m、身長は約12.6m近い。
しかも、“口と尻は明るく光っていて、目は丸く大きくて真っ赤な酸漿(ホウズキ)のように照り輝いて天地を照らしている”といいますから巨大な猿の化け物といったイメージの神様です。

―――アマテラスの孫・ニニギが天上から地上に降臨する際、天の八街(ヤチマタ)という場所で天地を照らす未知の神が一行の進路を妨げた。
ニニギはアメノウズメという女神を送って交渉させ、未知の神=サルタヒコを懐柔することに成功する。
サルタヒコは一行を地上まで道案内をした―――

この話からサルタヒコは「道案内の神・道の神」という性格が与えられます。
上総のはだか祭として有名な「上総十二社祭」でもサルタヒコが露払い、道案内に立ちます。
もっともまるで天狗様の格好ですから、天狗様と誤解している見物客も多いことでしょう。
しかし、天地を照らしていた神様ですから、本来は地元・伊勢の太陽神に違いない。

しかしながら神話では“サルタヒコは後に伊勢の海で貝に手を挟まれておぼれ死んだ”と記述されています。
ニニギの子孫にあたる神武天皇の時代になると、神武は部下に命じて伊勢を攻撃します。
太陽神・サルタヒコの聖地・伊勢はアマテラスの聖地にすり替り、サルタヒコを信じる部族は放逐されました。
天地に二柱の太陽神はいらないとしてサルタヒコは神話の上でも抹殺されたのでした。

伊勢津彦・伊勢津姫を祖先神とし、猿田彦を太陽神とする伊勢の部族は黒潮に乗ってさまよい、房総半島に新天地を見出しました。
千葉県、特に北総・利根川沿いの地域はサルタヒコに関係深い地域で、八街市、JR八街駅まであります。
ここには古代、大海上(オオウナカミ)国があり、後に上海上(カミツウナカミ)国、下海上(シモツウナカミ)国となります。
その大海上国を建国したのはサルタヒコを主神として信仰する伊勢の部族民でした。
海上国造家の祖先は伊勢津彦・伊勢津姫とされています。
そして銚子には現在も猿田彦大神を祀る立派な猿田神社があります。
房総には猿田彦を祀る神社はけっこう多い。

長崎大学の勝俣隆氏は、その著書 『星座で読み解く日本神話』で、
 ①天の八街はと天と地の間にある通路、牡牛座のスバル(プレアデス星団)に相当。
 ②サルタヒコの赤く輝く眼はアルデバラン。ヒアデス星団はサルタヒコの口。鼻の先端が牡牛座λ(ラムダ)星。
 ③そしてオリオン座はサルタヒコに対峙した、踊るストリッパー・アメノウズメだと指摘しました。

日本神話は星座と密接な関係があると氏は言います。興味深い話でした。
挿絵は氏が描いたのでしょうか。かわいい絵です。もちろん氏の想像図ですが…。
その気になって夜空のヒアデス星団を眺めてみると、真っ赤に輝く眼を持ち、鼻が異常に長いサルタヒコの顔に見えてくるから不思議ですね。
今の時期、夜空が見渡せれば、笑うサルタヒコを見ることは容易です。

 

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