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★田んぼにジャンボタニシの卵塊が

ジャンボタニシ
    気色悪いピンク色の卵塊

梅雨の季節になるころ、田んぼの苗はすくすくと育っており、時折吹く風になびく姿を見ていると心も晴れやかになる気がします。
足元に目をやればオタマジャクシが逃げ回っているのも愛らしく感じます。

その田んぼの泥の中にタニシが潜んでいますから、注意深く見ればすぐ見つかります。
しかし画像の田んぼでは、昔ながらのタニシはほぼ全滅。
田んぼのタニシは外来種のジャンボタニシに占拠されています。

ジャンボタニシは本名をスクミリンゴガイといい、タニシと名付けられてもタニシの仲間ではないそうです。
大変な悪食大食漢で、特に田んぼの苗などバリバリ食べてしまうので、特定外来生物ワースト100に選ばれています。
田んぼをよく見ると苗が部分的にすっぽり消えてなくなっている箇所があります。
農家の方の話によると、そこがジャンボタニシの食害の跡だといいます。

スッポンやコイが天敵だそうですが田んぼにはいません。いすみ市だとカルガモやサギの仲間が田んぼに降りてきて捕食するぐらいでしょう。
もともと人間様の食料として輸入繁殖させたものが、経営的につまずき放置され手全国に広まったそうです。
それで、知人の一人は実際に食べてみたそうです。
食べられるけど、あまりおいしくはなかった。もう一回食べる気はしないと言っていました。

被害を減らすためには卵の段階で駆除するのがさしあたっての方法でしょうか。
画像のようにどぎつい色のピンクの卵塊は棒でつついて水面に落下させれば、孵化しないと先ほどの農家さんは言っていました。
その方は先端に小さな網をつけた長い棒を用意し、田んぼのジャンボタニシを捕獲しては長靴でつぶすのだと言っていました。気の遠くなるような方法です。

田んぼの所有者でもない私たちができることは、散歩の途中で見つけた卵塊を棒でつついて水に沈めることぐらいでしょう。


 
 
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★ドクダミ化粧水(ローション)で美肌になる

八重ドクダミ八重ドクダミ2
     八重のドクダミでも効果は変わらない

ドクダミはいやな臭いがする雑草として嫌われています。抜いても抜いても出てくるし…・
嘆くよりも積極的に利用することを考えています。
ドクダミ+ホワイトリカーで作るドクダミローションがあれば高価な化粧水なんかもういらない。

ドクダミの別名は十能(ジュウノウ)で、十の効能=多くの効果がある薬草という意味です。
どこのドラックストアでもドクダミ茶は売っていて、健康に良いらしい。
市販の化粧水をやめてドクダミ化粧水にしたら 肌が白くなった、きれいになった、黒ずみやくすみが消えたという便りをよく聞きます。

何有荘の相方は肌がきれいですねと生まれて初めて言われ、何を使っているのですかと尋ねられてびっくりしたそうです。ドクダミ化粧水と答えたら驚いていたと言っていました。
残念ながら、アルコール忌避性の人は無理ですね。

作り方
  ドクダミは根を切り落とし、汚れた葉、虫食い、変色の葉を捨て水洗い。
  よく水を切ってから半日程度干して、余分な水分を完全に飛ばす。
  2リットル広口瓶(梅酒用が便利)に葉のみをギュウギュウに詰め込む。
  35度梅酒用ホワイトリカーを葉が隠れる程度に入れて密封。
  2週間後から使えますが、1か月以上できるだけ長く漬け込んだ方がエキスが抽出される。


     化粧水

画像Aにぎゅう詰めに仕込まれたドクダミの葉はたぶん1000枚はあります。
画像Bは100均のボトル。こしたドクダミ化粧水の保存用。常温で1年以上もつ。
画像Cも100均のボトル。小分けして使う。1ccぐらいのグリセリンを加えシェークして使う。
画像Dが薬局で購入のグリセリン。ヒビ・あかぎれ用だがグリセリンを加えることでしっとり感が生まれます。

ドクダミ化粧水をググれば膨大な量でヒットします。
そのうちどこまでが確かなことなのか、専門家ではないのでわかりませんが、シミ・ソバカスの類が目立たなくなり、肌が白くなってくるのは何有荘の「人体実験」で確認済みです。

一度、せっかく買った市販の化粧水がもったいないからと、ドクダミ化粧水を中断して使ってみたら黒さが戻ってきてしまった--それから二度と市販の化粧水には手を出していないそうです。

以前、某有名化粧品メーカーの美肌クリームでひどい目にあった女性たちが損害賠償請求を起こしたことがありましたね。
美しくありたいという女性の願いを逆手に取った「きれいになるなる詐欺」みたいなものです。

庭の嫌われものドクダミが実は美肌の救世主であったなんて、信じない人は損をしています。
ドクダミは入梅前、花が咲く直前の頃に採集するのが良いようですが、採集期間は夏いっぱい大丈夫なようです。
八重咲のドクダミはドクダミと思えないほど可憐です。一輪挿しなんかにちょうど良い。
普通の十文字のドクダミだろうと八重ドクダミだろうと効能には差がないと思います。



 

★夏が来るから ヘビイチゴ焼酎液 の準備

蛇イチゴ蛇イチゴ2
    ヘビイチゴ  焼酎に漬けている。100均のビンに入れればちょっとおしゃれ。

田舎暮らしは自然がたっぷりといっても、いやな虫もうじゃうじゃいる季節になりました。
隣の奥さんはハガチ(ムカデのこと)に刺されたと言っていました。
今日は庭で巨大なオオスズメバチに出会いました。
気がつくと何に刺されたか、赤く腫れてかゆい場合もあります。

そんな時の特効薬がヘビイチゴ焼酎液。
ヘビイチゴ焼酎漬けという人もいます。
ちょっと気取って、ヘビイチゴローションというと高級な感じがしてきます。

これが実によく効くのです。
市販の虫刺され薬よりずっとすばらしく、塗ってすぐにかゆみや腫れが引いてきます。
信じる者は救われる。本当です。
だからこの季節になると毎年作っており、おすそ分けしたらフアンになっちゃった人もいます。

材料は庭のヘビイチゴと梅酒用のホワイトリカーだけ。
ヘビイチゴは食用ではありませんが、毒イチゴでもありません。
人間様が食べないので、ヘビが食べるイチゴと名付けられ、貶(オトシ)められて気の毒です。
いすみ市では荒れ地や路傍でよく見かけます。

採集したヘビイチゴの汚れを落とし、ビンに7~8分目まで入れます。
ホワイトリカーまたは35度の焼酎でビンを満たします。
 (ヘビイチゴと焼酎の割合は適当でかまいません。)
 (米焼酎、芋焼酎、ブランド焼酎なんでもOKだけど、ホワイトリカーで十分です。)
2~3週間も漬けておけばエキスがにじみ出て茶色の焼酎液になり、もう使えます。
使い勝手が良いように少しずつ焼酎液だけを別の小瓶に移します。
 (残った焼酎液のヘビイチゴは私は引き上げません。1年以上漬けたビンもあります。)
1年間、常温保存で使えます。


蚊に刺された時など1回塗れば十分効き目があります。
変な虫(アリ、ブヨ、ハチ、ムカデなど)に刺された時は、数分置いて2~3回。
虫刺されの腫れ、痛み、かゆみに効果があるということは、肌荒れに伴うかゆみにも効果があるということです。
アセモでかゆい時は清拭が肝要ですが、清拭のあとで塗ればかゆみ止め・腫れ止めになります。

春夏秋冬、その季節に得られる食べ物を食べるのが一番健康に良いと言われます。
虫刺されの季節になると生薬として利用できる野草がはえてきます。
大自然の仕組みって素晴らしいなと感心します。
積極的に利用したいものです。


 

★山菜シドケ(モミジガサ)を頂いた

シドケ

知人が岩手の実家に孫の顔見世を兼ねて行き、お土産に頂いたのが上の画像のシドケ。
桜の季節の山菜ですが、岩手ではまだ採集できたらしい。
知人は子供の頃よく山に行って渓流脇のシドケを採集したものがそうです。

早速湯がいて食卓に乗ったのが下の画像。左=おかか、右=胡麻和え
   シドケ2

湯がきすぎるとアクがまったくなくなり山菜のだいご味がなくなりますから、湯がくのは数分。
人によっては山菜の王様というだけあって、自然界のおいしい恵みでした。
次回は酢味噌か天ぷらにしてみましょうか。

シドケは標準和名がモミジガサで、葉が全開するとモミジ型に切れ込んだ傘のような姿になります。
おいしく食べる時期は、まだ傘が閉じた状態、あるいは開きかけた状態のものが若々しく、筋がありません。

わたしが良く行くフィールドにはなく、よく似たヤブレガサならあります。
ヤブレガサも山菜として食べることができますが、うぶ毛が多く、モミジガサはうぶ毛がありません。
湯がけばうぶ毛など気になりませんが、やはりピカピカ光り輝くシドケの方が上品です。

自然の恵みをそのまま頂くのが今の時代には一番のごちそうかもしれません。
知人に感謝していただきました。

   シドケ3 シドケ画像(ウィキから転載)

 



★この花、狂暴につき--

謹啓菊
     国道沿いに咲くオオキンケイギク

コスモスに似た可憐な花で、謹啓菊とか金鶏菊とか表記される外来種で、近頃話題になっている水辺に住み着くカミツキガメと同様に駆除すべき特定外来種だとは思いもよらない人が多いことでしょう。
いつの間にか家の前や庭に姿を現したオオキンケイギクを愛らしいと思って保護している家庭もいすみ市では多く見かけます。
荒れ地や道路沿いの草刈りをしたときにオオキンケイギクだけを刈り残して「保護」している場面にもよく出くわします。

外来種だからって嫌うことはないだろう――という意見はごもっともです。
稲だって梅だって外来種です。カボチャもジャガイモも外来種です。
このオオキンケイギクだって国土交通省だか高速道路株式会社だかが、造成した土地を急速に緑化、しかも景観に配慮してばらまかれた種から生き延びて繁栄しつつある種類です。
つまり、日本のために大いに役に立ったと褒められてしかるべきかもしれません。

次の画像は岡山県のある河川敷の画像です。
    yjimage[2] 画像元→●
数年前、岡山県を旅行してJR車窓から眺めて愕然としました。

両岸とも一面のオオキンケイギクで、地元の人は困ったことだとは思っていないようです。
けっこう美しい花ですから、観光資源として人を呼べると思っているかもしれません。
しかし、埋め尽くされたオオキンケイギクによって、古来から河川敷を生存場所としてきた固有種がそこでは全滅したことは確かで、その固有種を食草としてきた蝶などは駆逐されたはずです。

繁殖力が強いので、意識的に駆除しない限り日本の景色は画像のように一変するかもしれません。
ススキの野原は風情がありますが、セイタカアワダチソウがススキの野原を侵食しました。
今では共存している景色が普通になり、純粋のススキ原野は貴重になりました。

いすみ市では特に国道沿いに多いようです。年々その面積を拡大しつつあります。
反面、去年まではあった場所に今年はないこともありますので、ひそかに駆除に協力している人がいることも確かです。
繁殖速度が速いか、駆除のスピードが勝っているか、そのせめぎあいですが、たぶん、自然の繁殖力の方が人為的駆除よりも勝っているだろうな と悲観的な気分です。

日本産で外国に行って嫌われている植物もあります。
のり面緑化にクズが導入され、繁茂して困っている、デビルプランツ(悪魔の植物)と言われ嫌われているという話を聞きました。

ちょいと思い付きで外国産品を利用すると思わぬ副作用がある――しかもだれも責任を取らない。
TPPが国会を通過しそうです。
自民党を先頭にあれほど反対していたのにコロッと変わってしまう。
食の安全を守れ、担保せよの声は今や少数派ですが、命を守るためには声をあげ続けねばなりません。
同様に自然の景色を守れ、そこに生きる多様な生物の命を守れということは、たぶん人間の本性に根付いた要求なのだろうと思います。

追記
キンケイギクとオオキンケイギクは正確に言うと違います。
いすみ市の場合、 野生化しているのは画像のオオキンケイギクであり、黄色一色の花です。
そして特定外来種はこのオオキンケイギクです。
単にキンケイギクと表記すると誤解を与えるとのご注意を頂きました。


 





 

★卯の花が咲くから卯月

宇津木
      何有荘のヒメウツギ(姫宇津木)満開

5月15日は新月で、旧暦でいえば今日が卯月の1日。
5月5日が立夏でした。それからまだ10日なのに、もうずいぶん経ったような気がします。
今日も暑かったですね30℃ありましたから、いまごろ卯月かと何か変な気がします。

卯の花が咲けば思い出すのがホトトギス。佐々木信綱の「夏は来ぬ」。
卯の花の 匂う垣根に 時鳥(ホトトギス) 早も来鳴きて 忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ

いつのまにか冬鳥のツグミがいなくなり、夏鳥のホトトギスがいすみ市にもやってきました。
トッキョキョカキョク(特許許可局)、トッキョキョカキョクと叫んでいるのがホトトギスです。
ついでに広い湿地帯にはこれも夏鳥のオオヨシキリが来て、ゲゲッチ、ゲゲッチと大騒ぎです。

ウグイスは春から鳴き始めて秋になるまでホーホケキョ、ホーホケキョとずっと元気で
コジュケイもまた チョットコイ チョットコイと大声で鳴いています。
田んぼではカエルの大合唱ですから 今の時期は何有荘周辺は朝から夜までけっこうにぎやかです。

卯の花は正しくはウツギといい、枝や幹の中が中空になっているので「空木」なのだとか。
卯の花は良い香りがするのかと信じて植えたのに、まったく匂いがしません。
知らないと言うのは恐ろしいもので、良い香りのするウツギもあり、バイカウツギという梅の花に似た花を咲かせるウツギだそうです。
何も知らず、ホームセンターで売っていたウツギを購入したのが間違いでした。
万木城ハイキングコースにバイカウツギがあると聞いていますので、暇を見つけて行ってみたいと思います。

ホトトギスの思い出を一つ。
高校1年の時、文学史の授業で、「杜鵑、杜宇、蜀魂、不如帰、時鳥、子規、田鵑はどれもホトトギスと読むから全部覚えろ」と指示されて閉口したものでした。

その中で特に印象に残ったのは子規でした。正岡子規の子規ですね。
ホトトギスは口の中が真っ赤なので「鳴いて血を吐くホトトギス」と言われますが、なんであんなに絶叫するのかと思うほど、トッキョキョカキョクとかまびすかしい。

正岡子規は結核を患い吐血しました。俳句への強い思いがあり、ホトトギスになぞらえて自分の号を子規としたそうです。
そして「ホトトギス」という雑誌を友人と創刊し、和歌・俳句の刷新に命を捧げました。
まさに鳴いて血を吐くホトトギスが正岡子規の俳人としての一生でした。

ホトトギスの鳴き声を聞くと正岡子規の生まれ変わりかと、ふと思ったりします。
虚飾を排してリアルな写生を求めよと正岡子規が叫んでいたことを思い出します。

 

★太東崎のハマヒルガオ

ハマヒルガオ
     砂丘に大群落と言いたいところだけれど

そろそろハマヒルガオの見ごろと思って夷隅川北岸の海岸に出かけてみたら、 なんと今年はもう最盛期を過ぎていました。
いつもは砂浜を埋め尽くすように咲いているのですが、今年はちょぼちょぼ。
しかも約半数は咲き終わった景色でした。
桜が早かったようにハマヒルガオも咲く時期が早かったようです。

「太東植物群落」に設置された看板によればハマヒルガオは5月6月の花とされています。
まだ5月中旬なのに これでは6月になったらどうなるのでしょう。
おもわず期待外れの観光地ランキングが頭をよぎりました。
高知のはりまや橋や札幌の時計台が毎年上位にランキングされています。

それでも私たち以外に釣り人が二人しかいない広大な海岸に大波が押しては引く単調なざわめきが繰り返され、海は広いし、空は青く大きく雲一つなく、散歩していると清々しい気持ちになります。
昨年は揚げ雲雀が鳴いていたのですが、今年は聞けなかったのがちょっと残念です。

気を取り直して足元を見れば、紫色の花を咲かせるハマエンドウ、奇妙な形のコウボウムギ、ハマボウフウなどの海浜植物が見つかり、うれしく思いました。
観光地化されていない浜辺って今は貴重な存在のようです。

国定公園の一画で天然記念物指定第1号の栄誉を担っている「太東植物群落」の最大のウリであるスカシユリは順調に育っていました。
花咲くのは7月ですが今年は早くなることも考えに入れておきましょう。
スカシユリの時期は、がっかり観光地ではない自然のお花畑を見ることができる雰囲気でした。

こんな素晴らしい景色がその時期にだけ出現する――それを実際に楽しみにしている地元の人は意外と少ないようです。
わたしも川崎に住んでいた時、川崎大師に出かけることはめったにありませんでした。
いつでも行けると思うと地元ゆえにかえっておろそかになるのかもしれません。


 

★いすみ市の里山のキンラン・ギンラン

金蘭 ギンラン
     黄色がキンラン、白がギンラン。高さ30~40cm程度

2018年の皇居での歌会始のお題は「語」でした。天皇陛下の歌が

語りつつあしたの苑(その)を歩み行けば林の中にきんらんの咲く  

都区内では消えてしまったと思われたキンランが皇居では生き延びているのかぁ、武蔵野の風景が残っているのだろうと印象に残った歌でした。
調べてみると一般公開されている東御苑でも数株咲いているという情報があります。
五月の連休に東御苑を訪れるのもよいかもしれませんね。 

房総半島ではハイキングコースでキンランを見かけることがあります。
房総ですから高い山ではなく、人家のそばの登山道から分け入ることが多い。
そんなハイキングコースは炭焼き小屋への道であったり、隣村への抜け道であったり、あるいは山頂のお宮への参拝の道だったり…。

つまり、まるっきりの自然原野ではなく、人の気配がある道筋に咲いていることが多いと思います。
ドングリなどの木漏れ日が差す道端の低い草むらの中が居心地が良いようです。
手入れがされず、そこがブッシュになると消えてしまいます。

画像のキンラン、ギンランは毎年、この場所近くで咲くのを知っていました。
何有荘から車で10分ほど、標高20m程度の低い山です。
遠出をしないでもちょいと出かければキンラン、ギンランに会える――そんな田舎暮らしが性に合っています。

今年の桜は例年より10日早く開花しました。
キンラン、ギンランもつられて早く咲くかな、思っていたら案の定でした。
もう咲き終わっている方が多かった。
見ごろは9連休の最初のころだったろうなと推測します。


 
 

★水辺のカキツバタ

カキツバタ
     いすみ市の某水辺にて

カキツバタは全体に濃紫の花。その花びらには筆で一筋の白い線を描いた模様があります。
いずれがアヤメかカキツバタといい、それは優劣付けがたい美女の例えです。

でも慣れれば季節の花としてのアヤメとカキツバタは容易に区別がつきます。
アヤメも総濃紫の花ですが、花びらの模様が一筋の白い線ではなく、網目模様になっています
アヤメは陸生、カキツバタは水生という点でも区別がつきます。

平安初期のプレイボーイに在原業平という歌人がいました。
この人物が未来の皇后と目されている藤原高子をたぶらかしたということで藤原氏の逆鱗に触れ、京にいられなくなり東国への旅に出ます。
その途中、三河国の八橋という場所で昼食休憩をとったとき、カキツバタが美しく咲いていました。
旅を共にした友人が「かきつばたという五文字を使って旅の歌を詠めとリクエストします。
その時の即興の歌が

  唐衣 きつつ馴れにし つましあれば はるばる来ぬる 旅をしぞ思ふ 

  らごろも つつ馴れにし ましあれば るばる来ぬる びをしぞ思ふ

唐衣は着るの枕詞で、立派なというニュアンスを含んでいます。肌になじんだ妻だったのに、その妻を都に置いてはるばる来てしまった旅をしみじみ思うとでも訳しましょうか。
蛇足ながら、都に残した妻は古女房ではなく藤原高子のことだと考えるのが妥当でしょう。

五七五七七の頭を「かきつばた」とした驚異的テクニックですが
五七五七七の尻を一文字ずつ逆に読めば(濁点表記は当時はなく、清音表記)「ふるはしも」となります。
これは「古橋・藻」となり、八つ橋の水辺の風景を読み込んだと読み解くこともできます。
頭と尻、これを上品に冠と沓と言いますが、冠と沓に景色を読み込む超・超絶技巧で開いた口がふさがりません。さすが当代一流の歌人・在原業平の歌です。

ついでに尾形光琳の国宝・燕子花(カキツバタ)図屏風を拾ってきました。
水辺にカキツバタ、これでカキツバタを見誤ることはありませんね。

     カキツバタ2



 

★夏も近づく八十八夜――5/2

葉菖蒲
      湿地帯にある菖蒲(葉菖蒲)の群落

立春を起算点(第一日目)として88番目の日が5月2日です。
5月5日が立夏だから、夏も近づく八十八夜――と歌われるのももっともです。
もうすぐ夏だ、夏の準備を始めようと促す日でもありました。

新茶の季節でおなじみですが、品種改良が進む前の稲作では今頃が種まきの季節でした。
米という字を分解すると八十八となりますからね。
末広がりの八が重なった八十八夜はお米にとっては縁起の良い日です。
やがて旧暦5月になると田植えの季節で、五月女(さおとめ)たちが着飾って田植えをしたものです。

現代ではまだ旧暦でいえば三月なのに、種まきどころか、もう田植えが始まっています。
あちらの田もこちらの田も水がはられ、規則正しく植えられた小さな苗が風にそよいでいます。

八十八夜の別れ霜という言葉もあります。
今年は遅霜の心配はまるでなく、4月中は気温25℃以上の夏日が続きました。
もうすぐ夏だどころではなく、もう夏になってしまったかと思う日々でした。

旧暦では卯月、皐月、水無月が夏とされ、5月5日の菖蒲の節句はまだずいぶん先の話なのに
産直店ではもう菖蒲湯の菖蒲が販売されていました。
それにつられて、近くの湿地帯に出かけ菖蒲を採集してきました。

菖蒲湯に使う菖蒲はきれいな花は咲きません。
画像のように一見すると、湿地帯の雑草です。
花の咲く菖蒲と区別して葉菖蒲といったりします。
しかし香りが強いので、その香りが邪気を払うと珍重されました。

しかし、やはりほぼ1か月早いので、香りはあまり強くありません。
ちょっと残念ですがせっかく採集したので明日のお風呂に使います。

なぜ仲夏の5月に葉菖蒲が珍重されたか、その香りにあるのですから、その香りが乏しい菖蒲湯では単に形をまねしただけで、あまり意味がないでしょう。

卯の花が終わり皐月が近づいたころ、もう一度採集して、薫り高い菖蒲湯に浸って邪気を払いたいと思っています。