★フデリンドウの花

フデリンドウ
     枯れ葉の積もった山道から顔を出していた。

子どものころ、リンドウという花を見たことがありませんでした。
素敵な花なんだろうなと想像したのは、島倉千代子の“りんどう峠“という歌謡曲からの連想です。

濃い紫色のリンドウの花に出会ったのは商店街の花屋さんだったのでしょう。
何回か、買い求めた記憶があります。

それからだいぶ時間がたち、尾瀬に通うようになり、タテヤマリンドウに出会いました。
園芸品種のリンドウと比べると極端に小さいけれど、確かにリンドウです。

やがて、遠い山より近くの山が好きになり、房総の山でフデリンドウに出会いました。
園芸品種のリンドウが秋に咲くのに対し、春に咲く野生のリンドウです。
それはハルリンドウか、フデリンドウ。
尾瀬のタテヤマリンドウの仲間で、いずれも華奢で小さい。

今回、出会ったのも近くの低い山です。
車社会の舗装道路になった今日では想像も難しいのですが、隣村との通い道は最短距離の山道が普通でした。
そんな道にはきっとリンドウも咲いていたのでしょう。

なじみの野草だったのに、見る機会はめっきり減りました。
だからもう これは貴重品扱いです。


 
 
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★トマトの丸ごとスープ

トマトスープ
           産直店で買った新鮮で質の良いトマトが決め手

久しぶりに大多喜の蔵精(クラショウ)さんで昼食をとりました。
オーガニックな自然食品の料理店で、いつ来てもおいしいなぁと満足します。

そこで出されたトマトの丸ごとスープにびっくりしました。
こういうトマトの食べ方もあるのですか。さっそく真似してみました。

蔵精さんのお椀は新ワカメと一緒でしたが、今回は菜花を添えました。
トマトはヘタを取り、十字に切れ込みを入れて熱湯に通して湯むきします。
トマトをだし汁で煮ます。弱火で10分。

コンソメ味ならば洋風。今回はカツオ昆布出汁で和風にしました。
和風だから添え物は菜花。
洋風ならばバジルなんかが良いと思います。
何にせよ、冷蔵庫にあるものが使えれば一番良いに決まっています。

トマトと菜花は ごじゃ箱 という産直店で購入したものです。
いすみ市はトマト産地としても有名で、特に新鮮で質の高いトマトを生産農家さんが出品しているので助かります。
柔らかくてもグズグズではなく、コクがあっておいしいので、トマト嫌いの人でもおそらくトマトを好きになってしまう--そんなトマトです。 

泊りがけでお客さんが来たときは、夕食は和風。
朝食はパンで、いつもはオニオンスープを出していましたが、来月末に来るお客さんには
このトマト丸ごとスープを出すことにしましょう。
きっと喜ばれると思います。


 
 

★菜の花畑にのんびり走るトロッコ列車

トロッコ
    広大な菜の花畑の中央を疑似SLのトロッコ列車が走る

菜の花電車と言えば地元のいすみ鉄道が有名です。
沿線が菜の花で彩られ、桜の季節になれば菜の花色の列車をカメラに撮ろうと、多くの撮り鉄さんが集まります。

ところが 小湊鉄道沿線は菜の花畑が広がっている、その中を列車が通ります。
菜の花の規模からいえば小湊鉄道沿線に軍配が上がるでしょう。

画像は養老渓谷駅から五井方面に車で5分ほどの石神地区で撮りました。
大きな駐車場があり、トイレもあり、当日は雨が心配される曇り空でしたが、およそ80名ほどの撮り鉄が集まっていました。

それぞれお好みの撮影ポイントに控え、列車が来るのを待ちます。
列車はディーゼル気動車ですが、SL風に改装されています。煙だって吐きます。
撮影ポイントに近づくと、ピーポーと汽笛を鳴らしてくれるのは親切心でしょう。

列車の車両は2両が窓付き、2両が窓なしで、乗車には予約が必要です。
乗客の話では、ガタゴトンというレールの響きが懐かしかったといいます。
駅舎や車両がレトロなだけでなく、レールも25mサイズの旧式だからこその味わいです。

新幹線とは真逆のコンセプトで、チンタラ、ゆっくりと車窓を眺めながらの旅は楽しかったそうで、何有荘に来たお客さんにこの企画を提案しましたが、喜んでくれて安心しました。

菜の花畑の中に踏み込んでみますと、むせるような甘い香りがします。
それだけ菜の花の量が多いので、一層そう感じるのでしょう。
もちろん、踏み荒らすのではなく、小道を通っての話です。

もしこの場所が首都圏であったならば、おおぜいの観光客が集まるでしょうに、なにせ千葉県ですし、観光農場ではありませんから 撮り鉄以外はだれもいません。
撮り鉄が趣味でなくとも、菜の花畑脇に車を停めて、ちょっと菜の花の中を歩いてみてはどうでしょうか。
入場料なしで、自然の素晴らしさを満喫できる場所です。

大多喜城2
帰りがけに大多喜城に寄りました。
桜はまだまだですが、天守閣脇のソメイヨシノは三分咲でした。
4月第1週、2週が見ごろと思います。


 

★156年前の今朝、桜田門外の変

山桜桃梅
       庭のユスラウメが満開になりました。

156年前の今日は、安政7年3月3日、上巳(ジョウシ)の節句、つまり雛祭りで幕政は休日。
江戸在勤の大名は将軍にご挨拶のため登城します。
あいにく朝から雪。大老井伊直弼(イイ ナオスケ)警固の武士は刀・槍を袋に収めた雨支度。
そこを抜刀した水戸藩脱藩者17名と薩摩藩士1名が強襲し、暗殺は成功します。

天皇の許しを得ずに開国したのは けしからぬ という理由でした。
現在でいえば、これはれっきとしたテロ事件。
西暦に直せば1860年3月24日のことでした。

本日は朝からどんよりとした曇り空。気温は7℃。真冬の気温に逆戻り。所によっては雪が降るとの予想です。
156年前の今日、東京は3℃以下だったのでしょう。雪の朝でした。

パリのテロ事件に続き、ベルギーでもテロ事件が起きました。
自分たちの意見を通すために、なりふり構わぬテロリスト。
テロリスト壊滅のためには国家による暴力、つまり空爆・地上戦闘が行われ、
一般市民もなすすべ知らず殺される。

ベルギーの市民が追悼集会で言っていました。
       ―――彼らは銃を持ち、われわれは花を持つ。---

世界中が銃であふれるより、花と笑顔があふれる世の中にするために、少しは無い知恵を絞り、重い腰をあげてみなくちゃなりませんね。

人の世は血なまぐさい話が続いても、自然は厳しい寒さがぶり返しても、必ず花咲く季節が巡ってきます。
そんな花の姿に励まされます。

庭のユスラウメが満開で、それは小さな桜の花に似ています。
やがて小さなサクランボのような実をつけることでしょう。
それを信じても 裏切られることはありません。
さあ、もう少しがんばりましょう。

 
 

★ Toilet in Nature  世界一のトイレ

トイレ
      小湊鉄道飯給(イタブ)駅に隣接

小湊鉄道沿線の菜の花の開花状況を調べに車を走らせました。
そのついでに、2012年4月にオープンした女性専用の 「世界一大きなトイレ」 を見てきました。

広さ200平方メートル、 だいたい60坪の庭の中に透明ガラス張りの個室トイレが1つ設置されていました。
周囲は高さ2mの黒板塀で完全に遮断されていますから、大自然の中で安心して用をたせるという趣向です。
あまりに開放的すぎると思う人のために、ガラス張りの個室内部をカーテンで目隠しすることもできます。
桜のツボミはまだ固く、菜の花はパラパラ。4月10日ごろが見ごろかと思います。

市原市は地域活性化のために芸術活動を支援しており、この Toilet in Nature、(自然の中のトイレ)も実用を兼ねた芸術作品とみるべきでしょう。

建設費1000万円だと聞くと、ただ驚くばかりです。
1000万かかろうが それ以上の経済効果が生まれれば文句なし。
しかし、それはあまり期待できず、ちらほらと観光客が訪れる程度。
まあ、芸術作品だからしょうがない。

板塀内部の敷地や個室内部がきれいに整備されていました。地元の人々が地道な管理をしていることがうかがえます。
それにしても全面ガラス張りのトイレは 真夏には超高温になって 使用不可能だと思うのですが、その辺はどうなっているのでしょうか。
なにせ女性専用なので、敷地内に立ち入っては調べられません。

このトイレがある小湊鉄道の駅・飯給(イタブ)は難読文字。
天智天皇の息子・大友皇子が壬申の乱に敗れてこの地に逃れ、地元民から飯(イイ)を給(タモ)されたという伝説があり、イイタモ が イタブ になまって短縮されたということになっています。

静かな山村で、駅の1日の乗降客数が4人とか6人とかで、絶滅危惧駅。
なんとか地域を活性化させよう、と巨大トイレを設置したのでしょう。
近くまで行く機会があったならば、ぜひ立ち寄ってみてください。
高滝湖から車で10分ほどです。


 
 

★白菜の菜花を《ふくたち》というのだそうです

白菜の花おひたし
      白菜の菜花とお浸し

家庭菜園に熱心な都会からの移住者Aさんから 白菜の菜花をいただきました。
東北・秋田ではわざわざ白菜をトウ立ちさせ、これを《ふくたち》と称して、人気の商品だといいます。
白菜の菜の花は初めての経験です。

≪ふくたち≫ は 苦みやクセがなく、やや甘くて柔らかく、何にでも使えそうな便利な野菜でした。
画像のお浸しはサッとゆでてから絞り、出汁をかけ、オカカを乗せ 少し醤油を垂らしました。
おいしかったです。

畑の菜の花はスーパーで売っている菜花とは少し違います。
しかし、アブラナ科の野菜の <菜の花のつぼみ> はどれも食べられます。
今までも畑で食べきれなかった収穫忘れのベンリ菜やからし菜など食べてきました。

正体不明の菜の花だって、菜の花ならば食べられます。
ただし、お花屋さんの菜の花は観賞用ですから、農薬まみれの可能性があり、食べるのは控えた方が良いでしょう。

今では春の野菜として菜花は誰でも食べられますが
昔は食用にはせず、種から油をとるために栽培していたようです。
食用油、灯明油、潤滑油、墨用などに用いられました。
その油の絞りかすが、肥料としての油かす。

せんだって体調不良の時に、『みおつくし料理帖』(高田郁)を読んでいたら、吉原の宴会に主人公の澪が <菜の花尽くし> の料理を出し、お客である豪商が驚いたという場面がありました。
菜種にすれば儲かるものを、つぼみのうちに料理して食べてしまうとは何とぜいたくな料理だというわけです。

勉強熱心な高田さんのことだから、菜花を食べるようになったのは江戸後期からだという資料をどこかから見つけ出して小説に仕立てたものでしょう

豪商も驚く春の贅沢な料理――菜の花。
これからは もう少し尊敬の念を抱きながらいただくことにしましょう。


 
 

★真っ白なハクモクレンもコブシも春爛漫

モクレン
       旧家の庭の大きなハクモクレンはまことに素晴らしい

桜が花開く前、いすみ市を彩るのは真っ白なハクモクレン(白木蓮)です。

紫色のモクレンが本来のモクレンなのですが、今日では真っ白なハクモクレンを単にモクレン と言うようになり、 紫色の本当のモクレンは シモクレン(紫木蓮) と言われるようになりました。
モクレンの主役が白と紫とで交代したのは時代の流れでしょう。

モクレンとよく似たコブシも咲いています。
その差、区別の仕方は見慣れていれば簡単ですが、慣れないと難しい。

モクレンの花はコブシよりも大きく、みな上を向いて咲いています。
モクレンの花はチューリップみたいに花がまとまっています。

コブシの花は開花すると全開し、花びらと花びらの間に隙間ができます。
しかも花の咲く方向はバラバラです。

モクレンの花の方が大きく、厚みがあります。
コブシの花はモクレンの半分ほどの大きさで、幅も狭く、厚さも薄いのです。

モクレン2コブシ
        モクレン                コブシ

総じてモクレンの方が豪華で、コブシの方が華奢です。
その差は中国産と日本産の違いかもしれません。
モクレンは木蓮で音読みですから中国原産。外来種です。

コブシは辛夷で、難読漢字ですね。コブシとは和語です。
昔からコブシという花が列島にあったこと、親しまれた花だったことの証拠です。
『北国の春』にはモクレンよりもコブシの方が似合います。

コブシは花の付け根に小さな葉が一枚ついている――モクレンは開花時には葉がついていないという大きな差がありますが、観察する限り、必ずしもそうとは言えないという実感があります。
木肌も違いますが、それを文章で表現するのは難しい。

モクレンかコブシか、いずれにせよ、真っ白な花が咲きだし、見事に咲き誇ればもう春のお彼岸は近いと感じさせます。
そしてこの真っ白な花が咲き乱れると、次々と新しい命が湧き出てきます。
雑草もコバエも、カエルたちも元気いっぱいの季節になりました。


 
 

★野の花、シュンランは“春の妖精”の名にふさわしい

春蘭
     山道を歩けば、ふと目に留まる

都会暮らしの時は、身近にこのような花があることを想像だにしませんでした。
シュンランの存在自体知らなかったし、どこか遠い山里へでも行かねば出会えない花の雰囲気があります。

Spring ephmeral (スプリング・エフェメラル)
「エフェメラ」 はギリシャ語で「はかないもの・はかない命」。
スプリング エフェメラルは直訳すると「春のはかないもの」で、「春の妖精」と訳します。

緯度が高い北ヨーロッパでは冬が長く、陽も短い。それだけに春は待ちこがれた季節です。
その春に一瞬だけ山野に姿を現すのがスプリング・エフェメラル。

日本の花でいえば、セツブンソウ や カタクリが代表例。
蝶でいえば、ツマキチョウ や ギフチョウ でしょうか。
早春に姿を現し、夏になるともう見ることはできません。

だから常緑のものはこの仲間には本当は入れません。
画像の春蘭は夏にもジャノヒゲ や ヤブラン に似た葉を伸ばしていますから、厳密にはスプリング・エフェメラルにはなりませんが
花茎がいかにも弱弱しく、花は地味とはいえ蘭の仲間ですから凝っています。
桜の花の咲く前、その一瞬だけの花です。

それで、シュンランもスプリング・エフェメラルだという人は多く、わたしもその花のはかなさ、美しさ、希少さから 「日本のスプリング・エフェメラル」 だと言っても良いと思っています。

もっとも希少さという点では、昔はそうでもなかった、ありふれた花だったらしく、
ジジババなどという地方もあります。
山菜として花を採り、ゆでて酢の物とする、あるいは塩漬けにしてお茶として用いたりと生活に密着した花だったようです。

しかし今では希少品種ですね。
山野を歩いていて見かけることはほとんどありません。
今の時期、ここに咲いていることを知っているから、この山道を歩いてみました。
今年も咲いていることを確認すると、ああ良かった とうれしく思います。


 
 

★春のごちそう

春の食事
      フキノトウの天ぷらとハマグリの潮汁

先日までの暖かさはどこへやら。
田んぼでコロロ コロコロと鳴いていたカエルも今日は沈黙しています。
空は冬空、厚く暗灰色の雲から冷たい雨が降ったりやんだり。

さて先日の暖かい日、ささやかな祝い事があり、地元産のハマグリを購入しました。
ご承知だと思いますが、ハマグリは今が旬。
旬のものを旬の時期にいただくのが 食べる幸せの一つです。

ところが、ハマグリが余りに高価でちょっと手が出ません。
その日は2割引きとあったので迷わず買いましたが、翌日は半額でした。(ザンネン)
旬とはいえ、やはり高すぎるので 買う人が少ないのだな、と思いました。

千葉県は貝塚の多さでは全国有数の地域。
その貝塚では大量のハマグリが見つかります。縄文人もハマグリが大好物でした。
その点で、現代人は縄文人より貧しく、我慢を強いられる生活のようです。
海水の汚濁、海岸の砂浜の消失――人間様の身から出た錆、因果応報ですけど。

観光客相手には焼きハマグリが人気です。
今回は潮汁にしました。上品なお吸い物になりました。
ミツバはもちろん庭から採集しました。

フキノトウも今が旬。
地元ではあちこちに自生しています。
でも、それだけじゃさみしいので、ちょっとその他も含めて天ぷらにしました。

庭にはヤブカンゾウが芽を出し始めました。
これからは春の山菜の季節で、野原を歩くのが楽しみとなります。
花粉さえ飛んでなければ最高の季節です。


 
 

★春の野の花 二題

ホトケノザ
        ホトケノザ 仏の座 (シソ科)

オドリコソウ
        ヒメオドリコソウ 姫踊り子草 (シソ科)

どちらもいすみ市の道端や畑地にいくらでも生えている雑草。
同じシソ科だからか、どちらも同じような小さな花を咲かせます。

桜やチューリップのような花なら、その構造を理解し、描くのは簡単ですが、この花は複雑で難しい。
花びらが一枚の合弁花で、ラッパのように筒状だが、筒先は上下に分かれ、さらに左右に分かれています。
口をぱかっと開けているように見えなくもないので、このような形の花を 唇形花 といいます。

この二種類は同じ場所に競い合って咲いていることも多く、
ちょっと見には区別がつかない、という人もいるようです。区別できますか?

ホトケノザは葉が丸い座布団のような形ですから、仏様の座布団という名前です。
別名が三階草で、丸い座布団が何段にも重なっているように見えるので、1階、2階,3階と数えて、三階草。葉で識別すると簡単です。

春の七草のホトケノザはこの花とは全く無関係。
コオニタビラコという草が本当のホトケノザで食用となります。

スーパーで春の七草セットを購入すると、タンポポの葉みたいのがあります。それがコオニタビラコです。
早春の山野で平たく開いたタンポポ状の葉を、他のタンポポに似た葉と区別して採集するのはほとんど不可能。

では画像のホトケノザは食用にならないのかと言えば―――食べられないことはない。
中毒事件を起こした例を聞きませんが、好んで食べることもないでしょう。

一方の ヒメオドリコソウ は外来種で、本来は日本の草ではありませんが、すっかり日本の風土になじんでいます。

葉を見るとシソの葉によく似ています。
同じくシソ科のレモンバームの葉ともよく似ています。
しかし、重なり合った上方の葉が紫色に色づく点がヒメオドリコソウの特徴です。

春に咲く小さな花を見ていると、小さくとも細緻な花だなと感心します。

野の花を見よ!! とイエス様が言うのもその通りだなと思うし
山川草木(サンセンソウモク)悉有仏性(シツウブッショウ)と言って、こんな花にも仏さまを感じてしまうというのもありだな、と思います。