ウラシマソウは毒草

   
        見るからに不気味な姿

春から初夏に山林周辺で奇妙な花が咲くのがウラシマソウ。花の一部が浦島太郎の釣り糸のように細く伸びているのが命名の由来。
わたしたちが花だと思っている所は、植物学的には苞(ホウ)と言って、花を包んでいるいわば飾り。本当の花はこの苞の中に直立しています。

変な形の花だけれど、親類筋には超有名な花があります。ミズバショウ。
ミズバショウの白い花も実は苞で、苞は葉の変形したものです。
その純白の苞の中央にある緑色のイボイボ円柱が本当の花の集合体。
そんな分析は学者にまかせ、わたしたちは苞を含めて「ミズバショウの花」と言っています。
ウラシマソウも苞の中にイボイボ円柱があり、これが秋になると真っ赤に結実する。
真っ赤なミニトウモロコシのようなものが枯葉の間に直立していると何だろうと思いますがウラシマソウのなれの果てです。

もうひとつ、おなじみの親類筋をご紹介しましょう。
ガーデニングで人気のあるカラー。白花が多いけれど黄色やピンクなど最近はにぎやかです。
ミズバショウとカラー、似ているでしょう?
ミズバショウもカラーもそしてウラシマソウも里芋の仲間。
里芋はおいしいけれど、ミズバショウもカラーも食べられない。
同じ里芋科に属するのに好かれる・嫌われるの差が激しい。

きれいな花にはトゲ・毒がある?
ウラシマソウはきれいじゃなくとも毒がある。
イノシシや鹿、はては人間様まで喰いあされば植物は子孫を残せません。
走って逃げることのできない植物はトゲや毒で武装して自身を守ります。

だから野菜とは人類の涙ぐましい試行錯誤の結果選ばれた植物であり、永年の品種改良で毒性を薄められた植物なのです。
武装した植物も偉いけれど人間様も偉い。みんな地球の生態系の一員なのだ、苦労しているんだと思います。

 

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南房総の大山千枚田

   
        広々としたとてもすがすがしい景色

何有荘から川崎に帰る途中、遠回りして大山の千枚田に寄り道しました。
街道からそれて千枚田へ向かう道は対向車が来たらどうしようという狭い道で、案の定、観光バスと鉢合わせになりました。
まぁなんとか一寸刻みに車を動かしてすれ違うことができました。

駐車場からの景色は雄大で、快晴の天気でしたから素晴らしいものでした。
こちらの斜面もあちらの斜面も等高線にそってそれこそ無数の田んぼがあります。
目の前をさえぎるものがなく、ずっと遠くまで田んぼです。
遠くでは地元の小学生が田植えをしております。泥だらけになって楽しそうです。

平地の田んぼと違ってどれも畦きりのプラスチックプレートを使っていません。
どれも稲を植える部分を平にへこませただけで田としています。
それだけで水をたたえることができるのは土質が粘土層だからのようです。
全部人力で耕作しているのかと思いきや、耕耘機がシロカキをしておりました。
そりゃそうですよね。全部人力などは今時は無理でしょう。
ただし耕耘機の動き方は1枚の田んぼが狭いのでとても不自由そうです。
耕耘機ではできない端の方は奥さんと思われる年輩の女性が人力で耕耘しておりました。
やはり大変です。

山間部ではあっても何とかして白いご飯が食べたい、という江戸時代からの執念と勤勉さがこの見事な千枚田を作ったのですね。
最近の米余り現象やら、減反やらの影響はここにも見ることができます。
何枚かの田んぼは草地になり、水仙が植えられていました。
遠く離れた谷向こうの斜面の田んぼはすでに原野同然になっております。
そのような状況の中でこれだけの景観を維持するのは大変なご苦労だと察します。

わたしたちは、素晴らしい景色だね、とか言っちゃって素通りするだけで良いのか、
ちょっと考えさせられました。
 

桜が終われば梨の花

   
        梨花は美人のたとえ

里山の会のメンバーが梨を育てているのでヘルプに行きました。
作業は人工授粉をすること、すでに受粉したものは摘花すること。
前日があいにく雨だったため人工授粉には適さない日だそうで、摘花になりました。
摘花とは何輪も咲いている梨の花のうち、1番花・2番花、7番花・8番花を落とし、4輪程度に整理すること。
栄養を少数精鋭で行き渡らせるために行うとか。
これがなかなか面倒で首が疲れます。

画像は摘花前の梨の花。稟として美しい花です。
梨花と書いてリカと読みますが、若い人はリンカだよと言い張るので困ります。
どうもそんなタレントがいるようです。

日本がお手本にしてきた中国(唐)では花と言ったら「梅」または「梨」でした。
日本でも中国文明べったりの朝廷では漢詩が流行していました。
政界主流から落ちこぼれた負け組貴族たちが漢詩ではなく、和風の歌、つまり万葉集に戻って和歌の復権運動を起こします。
そして六歌仙などと称される人々が、花と言えば桜だヨという認識を広めました。
もっともソメイヨシノはまだ存在せず、桜と言えば山桜でしたが。

昔、高校時代に漢文の授業で白楽天の“長恨歌”を習いました。
その一節に楊貴妃がうなだれている様子が次のようにあります。

「玉容寂寞涙闌干、梨花一枝春帶雨。」
ギョクヨウジャクマクとしてルイランカン リカイッシハルアメヲオブ
“楊貴妃のお姿がひっそり寂しげで涙が止めどもなく流れている。
まるで梨の花の一枝が春の雨に打たれて花がハラハラと散るがごとくに“

梨花=楊貴妃の扱いです。
桜花=楊貴妃ではやはりピンと来ませんね。
高校生当時、梨の花など見たことがありませんでしたが、こうして間近に見てみると確かに梨花には高貴な雰囲気があります。

 

枯れ木にキクラゲ

   
        竹林で見つけた食用キクラゲ

キクラゲは漢字で「木耳」。木の肌に耳がたくさん付いているように見える。
ただし必ずしも耳のような形とは限らない。ラッパ状などもある。
キクラゲの語源は、海のクラゲのようにコリコリした食感で味もあまりなく、木から生まれたクラゲのようなキノコだから。

人類とは数千年、数万年のつきあいがあるありふれた食材です。
スーパーや八百屋で商品として売られているものが食品だ、とわたしたちは思いこんでいますから、自然のキクラゲだと聞いても初心者は手を出しにくい。
触るとプヨプヨと弾力性があり、生で食べられるめずらしいキノコ。
枯れ木・倒木などによく発生する。

あるサイトでは… 近代の研究では、キクラゲの有効成分は人体の免疫能力を増強し、リンパ細胞と白血球の殺菌作用を活発にし、骨髄の造血機能を高めることが分かりました…と述べられていました。

キクラゲの食べ方
採集したら木にへばりついていた時のイシズキらしき物を切り捨て、水洗いして適当に切り分け、油で炒めたり、煮たりすればあらゆる料理に合います。
サッと湯通しし、スライスして酢醤油、辛子醤油、ワサビ醤油などが簡単。
今回はブタのこま切れ、サヤエンドウと一緒に炒めていただきました。

普段は中国製の乾燥キクラゲを水で戻したものをわたしたちは食べています。
中華料理のタンメンとか野菜炒めなどに入っているのでおなじみでしょう。
食べてみると国産の取り立てキクラゲはあのキクラゲとは全く別物の印象です。
プヨプヨプルルンとした絶妙な弾力性のある食材で、アーッ、今キクラゲを食べているのだという存在感と感激があります。

もちろん西洋料理でも、パスタやスープの食材になります。
カレーライスの食材に入れてしまっても好評。
日本料理では味噌汁の具、酢の物、豚汁が代表的でしょうか。

間違って収集し食中毒になったらアワレでミットモナイ。
茶色で半透明なのが食べられるキクラゲ。
白いキクラゲは美容に良いとされ、中国では高級食材。
全身まっ黒くて弾力性がなく、皮革のような クロハナビラタケ は毒キノコ。
食べた人がいるからこそ、それが毒か食べられるかとわかるんですヨネ。
   白キクラゲ

カラスノエンドウは食べられる

   
        よく見れば豆科特有のかわいい花

家庭菜園や道端の雑草として誰でも出会ったことがあることでしょう。
ツルで巻き付き結構面倒な雑草ですが食べられます。

サッとゆがいておひたしにして食べたことがありますが茎が筋っぽかった。
若芽、若葉、花、若サヤはどれも天ぷらにするとおいしいと言いますが、それほどでもありません。
クセがなくニガミもなく、何を食べているのかよくわからない。
黒くなったサヤと実はそのまま生で食べると毒があります。
天ぷらにすれば大丈夫だそうですが、わざわざ食べるほどのことはないでしょう。
いずれにせよ天ぷらの食材としては、それだけの量をかき集めてまとめるのにやや難があります。

豆科の植物ですから根についた菌が窒素同化作用を行うので、肥料なしでもガンガン育つ。
だから普段は食材にするよりも、良く育ってから刈り取り、畝に敷いて畑に少しでも有機質を戻すようにしています。

カラスの**という命名は、人様が食べないとか、偽物の**という意味合いでつけられることが多いのです。例えばカラスウリなどがそうです。
ところがこれは少し異なり、「カラス+野豌豆」だそうです。
カラスノエンドウの実(サヤ)は花が小さいだけに小さなものですが、色は真っ黒くなります。その色がカラスの色だということと、栽培用の豌豆ではなく野生の豌豆だということの合成語だそうです。
だから漢字で書くと 烏野豌豆。

しかしわたしは カラスの豌豆、つまり人は食べない豌豆だという説が捨てきれません。
もともと野豌豆は中国語で、それだけでカラスノエンドウを示します。
日本には、カラスノエンドウを小型化したスズメノエンドウがあります。
つまり、「ノ」は純粋に日本語だと理解し、「烏の豌豆」が正しいと勝手に思っています。
どうでも良いことですが、烏野豌豆ではどうにもしっくり来ません。

 

シャガの花

   
        玄関先のシャガが満開

シャガを初めて知ったのは図鑑の上。本物を見て感激したのが某公園での群落。
こちらに居を構えてある日の散歩中に「アーッこんな所にシャガが…」と発見し、そのうちの数本を失敬して植えたら大繁殖してしまいました。

学名が Iris Japonica アイリス ジャポニカ 日本語に訳すと「日本のアヤメ」
してみると外国にもアヤメはあるらしい。
ジャーマンアイリスなるハデなアヤメが園芸店などで人気があるそうな。

やや湿った半日陰の場所を好むが、まるっきりの草原でも育つ。
アヤメよりも小型で繊細な感じ、つまり日本的?な感じがしたのだろうか。

日本のアヤメという学名にもかかわらず、原産地は中国。古い時代に中国から渡来した帰化植物だそうです。
遺伝子的には3倍体と言って、種なしスイカ同様に種ができない。
しかし地下茎を延ばしてドンドン増える。
したがってすべてのシャガはすべて同じ遺伝子を持つクローンみたいなもので、
渡来した時の個体から人の手によって株分けされ続け、今日あちらこちらで美しい花を咲かせているわけです。
なかなか壮大な歴史を持つ美しい花です。 

追伸:アイリス
今夜TBS系で韓国ドラマ・アイリスが放映されます。
見ていないので何とも言えませんが、この場合のアイリスはアヤメではないでしょう。
アイリスの原意は虹です。ギリシャ神話に虹の女神としてアイリスが登場します。
アヤメは花弁の色変化・グラデーションがアイリスと名付けられた由来かもしれません。
アイリスにはもう一つ、瞳という意味があります。正確には光彩。
写真機にたとえれば”絞り”に相当します。
スパイ映画ですから、ライフルの照準スコープの意味でアイリスを使っていると推察します。
そのスコープの先に幸福の虹が見えたのかどうか、その辺がドラマの名前の由来ではないでしょうか。

 

 

アミガサタケ

   
        グロテスクですが食用になります。

竹林にタケノコを掘りに行った時に、竹林の中で見つけました。
昨年はお目にかからなかったので久しぶりです。
調べてみると、桜が散る頃が最盛期だとか。
なるほど、その頃採集に行けば見つかるのか、もう季節が少し遅れてしまったから1本しか見つからなかったのかと残念に思いました。

一番簡単な食べ方は、縦に二つ切りにしてバターソテー。塩胡椒少々。
どちらかといえば淡泊な味なので、細切りなどにしないで大胆に食べた方が良い。
二つ切りを味噌汁や豚汁に入れて食べても良い。

世界中で高級食材とされ、フランス料理、イタリア料理、インド料理などでよく使われるそうな。
そんな食材を気味が悪いからと見逃してしまうのは実にモッタイナイ。
アミガサタケと姿形・色合いがよく似た毒キノコはありませんから、間違って食中毒という心配もありません。シロウトでも識別できる特徴ある姿です。

必要なのは食べてみる勇気だけです。
慣れれば勇気よりも先に唾液がこぼれそうになります。

 

スナップエンドウとサヤエンドウ

   
        今年2回目の収穫

その日に食べる食材をその日の畑から取ってくるという贅沢な暮らしをさせて頂いています。
もっとも自給しているのはほんのちょっぴりの種類だけですが。
スナップやサヤエンドウは昨年より半月遅れで、ようやく本番になってきました。

取れたてというのは本当においしい。どの野菜にも甘味があります。
野菜が嫌いだという都会の子どもはおそらく味に敏感で、おいしくない野菜をマズイと拒否するのでしょう。
ひからびた野菜がおいしいわけがありません。

収穫時期になると季節のものですから大量に取れてしまい、毎日食べ続けねばならぬというのもちょっとなんなんですが、それもゼイタクな悩みというものでしょう。

どうにも自家消費できなくなるほど大量収穫になると知人に「ウチでは食べきれないので食べて下さると助かります」とお裾分けします。
プレゼントされるとお返しをしなければならぬという日本人特有の心の負担をかけぬように心がけてはいるのですが、それでもお返しが返ってきてしまいます。

お返しが来てしまうのも困るのですが、かといって何の反応もないのも落ち着きません。お裾分けをする、受け取るというのもなかなか難しいものですね。
自分のことを考えると、いつも「アッ、アリガトウ」といただく時は言いますが、その後お会いした時にちゃんとお礼や感想を伝えてきたかどうか、
やや心もとなく、まだまだ修行が足りません。

 

ツバメがやってきた

   
        電線のツバメ

ガラス窓越し小型デジカメだとこれくらいが限度。ノドの赤さが目立ちます。
尻尾も燕尾服型でまぎれもなくツバメ。
関東地方に来るツバメは何種類かありますが、一番多いのがツバメ。
アゲハ(蝶)をナミアゲハなどと失礼ないい方をする御仁がいらっしゃるが
さすがにこのツバメを、ナミツバメなどとは誰も言わないようです。
ツバメの中のツバメ。ツバメといえばこれが代表だから余分な形容語句は不要。

春の彼岸が来る前に、あいさつもなしに冬鳥たちは立ち去り、庭がさみしくなりました。スズメは相変わらず集団でやってきますが…。
桜が咲き始めた頃、替わってツバメが近辺に展開してきました。
庭の前の大きなため池の上を素晴らしいスピードで飛んでいます。
電線に停まる時も仲間と一緒で、ジュージュクジュクジージーとそれはもうものすごくオシャベリな連中です。

小学生だった頃、川崎でも映画館や消防署の玄関にツバメが巣を作り、ビュンビュン飛び回っていたのを覚えています。
いつの頃からか巣はたたき壊され、川崎にツバメは来なくなりました。

このいすみ市はまだまだ自然が豊かで、冬鳥が去ったら夏鳥が訪れ、ウグイスもシジュウカラもしきりにラブコールをしています。夜は夜で蛙の大合唱。もうすぐウシガエルの重低音も聞こえてくるでしょう。
自然とはこんなにも豊かな音の世界だったのだ、と今さらながらに気づかされます

 

『王家の豆』の花

   
        別名が『ツタンカーメンのエンドウ豆』。

ツタンカーメンは今から3300年以上も前のエジプトの若死にした王様。
その未盗掘墳墓が1922年に発見された際、多くの副葬品の中に混じっていた種をイギリスの考古学者ハワード・カーターが持ち帰り、発芽、栽培に成功したと信じられている豆。
冷静に考えればこの話にはいくつもの疑問符がつきます。
でも信じる者は救われる。真相究明などしない方が、ヘー、ソウナンダ とおもしろい。

その育て方はサヤエンドウと全く同じで手間いらず。
見た目も普通のサヤエンドウと変わりません。では、どこがどうで『王家の豆』という大げさな名前がついたのか、それは次回、収穫時にお話しします。

今年は冬の寒さと強い季節風でだいぶ痛めつけられました。
ワラを敷いて防寒などしていましたが半数がやられました。枯れ果てました。
11月の種まき・発芽の時期が早かったのかもしれません。

ところがボロボロになってもうダメかと思っていたヤツも最近復活してきています。
サヤエンドウよりも半月遅れですがようやく花が咲きました。
自然の生命力は素晴らしい。

何となく経年劣化でボロボロのわが身も、まだ見捨てずにおけば花が咲くぞと励まされる光景です。