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★ツバメの巣立ち、ヒナはもうだいぶ大きくなった

ツバメ
     太東郵便局のバックヤードにて

子どもだったころ、川崎にもツバメが来て商店街を疾走していたことを思い出します。
都会地ではほとんどツバメを見かけなくなりましたが、いすみ市ではまだツバメがたくさんいます。
この近くで一番多く見かけるのは長者町商店街で、目にもとまらぬ速さで行き来しています。
よく見ると軒先に巣がある商店があります。
ここは良い地域だとツバメは思っているのでしょう。

ツバメは人と共生する鳥だと言われます。
人を恐れず、人家の軒先に巣を作るのは、外敵がそこまで侵入してくることがないことを知っているからだと言います。
その返礼として、軒を貸してくれたお宅には幸福が訪れると言い伝えられてきましたが、
最近はそんなことは信じない人が増え、フンが落ちて迷惑だからとして,巣を撤去する人が増えました。
昨年まで巣立ちが見られた場所で巣が撤去されているところも多くありました。
残念なことです。

今年のツバメは少ないのだろうかと心配していましたが、
なんのなんの、先日、百羽を超える大群に何有荘前で出会いました。
たぶん第1回目の子育てがうまくいき、南に帰る日のための集団飛行訓練を始めたのだと思います。

何有荘前は大正堰というため池があり、そのすぐ隣が太東崎の台地なので起伏に富んでおり、気流に乗り、気流を読み、急降下、水平飛行、急転回などの訓練をしているように思えます。
何せすごい数のツバメが夕方になると集まってきます。

しかしね。いつも不思議に思うのです。
誰が生徒か、先生か?――
なんとなく夕方に集まってきて、何となく日没とともに去っていく――ように見えます。

さて画像の件ですが、ツバメは年に2度3度卵を産み子育てするそうです。
ヒナの大きさからすると、たぶん2度目の子どもでしょう。
もう巣立ちも間もなくの様子がうかがえます。

先輩たちはもう集団飛行を始めていますからね。
早く一人前になり、先輩に追いつくことを望みます。

季節を表す二十四節季に 『玄鳥去 ツバメサル 』があります。
9/18~9/22ですからまだ日にちがありますが、夏の渡り鳥であるツバメが去る頃とされています。
今年は六月に梅雨が明け、ずっと猛暑が続いていますから、それがツバメが去る日程にどのように影響するのか。
ツバメのリーダーがどのように判断するのか、今年はちょっと気をつかってみるつもりです。


 
 
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★電線で大声で叫んでいるのはオオヨシキリ

オオヨシキリ
     ふつうはアシやガマの穂に止まって叫ぶのだが

夏が近づくと、何有荘近くで一番大声で叫んでいる野鳥は夏の渡り鳥・オオヨシキリです。
スズメより少し大きく見えるのは、尾がスズメより長いからか。
体の色はスズメと同じくくすんだ茶色です。

湿地帯である葦(アシ)原にやってきて、大声でテリトリーを宣言します。
ふつうは葦原のアシやガマの穂の先端に止まってさえずるのですが、この個体は電線に止まるのが好きなようです。
電線上の方が視界が広くとれることに気づいたのでしょう。

近づくとすぐ逃げてしまうので、ちゃんとした画像はネットから拝借しました。
  オオヨシキリ2  画像元→● 

どこにそんなエネルギーがあるのか。大きく口を開いて大げさに、仰々(ギョウギョウ)しく鳴きます。
その鳴き声は ギョギョシ、ギョギョシ ゲチゲチゲチと聞こえます。
それで 俳句の世界では、行々子(ギョウギョウシ)という名になり、夏の季語となるようです。
実際の声を聴きたければ 「オオヨシキリ 鳴き声」 で検索をかけるとたくさんヒットします。

葦原のアシという語感を嫌ってヨシと言い換えることがあります。
吉原とは、本来は葦原のことです。
その葦の茎に潜む虫を、茎を引き裂いてついばむので、ヨシキリ。
コヨシキリという別種もいるそうですが、会ったことはありません。

  よしきりの ここだ来鳴ける 河口に かかる木橋は 古りにけり
                                  宮本百合子


「ここだ」とはたくさんの意味。河口に架かる木橋とは国道128号線、夷隅川に架かる江東橋のことで、戦前はコンクリ製ではなく木橋だったのですね。
東京から病気療養に来た百合子には、懐かしいような心休まる景色だったのでしょう。

毎年、夏が近づくとオオヨシキリが今年も来たなとうれしくなります。
野鳥が得意な知人が東京から来たとき、オオヨシキリがうるさいんだよね、と自慢げに言ったら、夏の間だけですから我慢してください、と真面目に返されてしまいました。

子どもの声がうるさくとも、虫の声がうるさくとも、カエルの声がうるさくともそれが自然の姿ですから、自然の姿が自然に回っていることはうれしいことです。
虫の音も聞こえない、鳥もカエルも消え失せ、そして子どもの泣き声や笑い声さえしない世の中なんて、想像するだけでさみしくなります。


 
 

★この水鳥は何でしょうか

水鳥
        不定期にやってくる白い水鳥

図鑑を見比べてどうやら ユリカモメらしいと判断していますがさてどうでしょうか。
むかし多摩川の河原で見かけたユリカモメとはチョット違う気がしないでもありません。

ユリカモメは東京とはなじみが深い鳥です。
ひらがなで 「ゆりかもめ」 と書くとお台場をめぐる新橋・豊洲間の新交通システム路線のこととなります。

浅草にできたスカイツリーの直近の駅は「スカイツリー駅」ですが、旧駅名は「業平橋」でした。
近くにある「言問橋」からのスカイツリーがインスタ映えするそうです。
この近辺は在原業平の『伊勢物語』の舞台になっております。

業平が武蔵国と下総国の境を流れる隅田川を渡し船で渡るとき、京では見かけない鳥を見て船頭に問うと、「都鳥だ」教えられます。原文を読んでみましょう。(『古今和歌集』411番)
―――白き鳥の、嘴と脚と赤き、川のほとりにあそびけり。京には見えぬ鳥なりければ、みな人見知らず、渡守に、「これは何鳥ぞ」と問ひければ、「これなむ都鳥」と言ひけるを聞きてよめる

        【名にしおはば いざ言問はむ都鳥 わが思ふ人は ありやなしやと】 

このエピソードにちなみ、言問橋とか業平橋という地名があるわけです。
さて、業平が見たこの都鳥ですが、その特徴は「白き鳥の、嘴と脚と赤き、川のほとりにあそびけり」とありまして、この特徴に該当する水鳥は ユリカモメだというのが定説です。
そして「都の鳥」ということから東京都の鳥にユリカモメが指定されています。

ところが面倒なことに ミヤコドリという名の全く違う水鳥も存在します。
『伊勢物語』の都鳥は、ミヤコドリではなく、ユリカモメだと覚えるしかありません。

ユリカモメは冬の渡り鳥ですから、業平が都鳥に出会ったのは真夏ではないということもわかります。
大正堰に来ている冬の水鳥たちも、まもなくそれぞれの故郷に帰ることでしょう。


 
 

★長年の疑問が解決――ヒクイナの鳴き声

ヒクイナ
   まだ実物に出会ってないので、画像を転載 転載元→T/Hの野鳥写真-Ⅰ
   鳴き声は→こちら(YouTube)

谷津干潟に珍鳥ヒクイナが姿を見せたという新聞記事を読んで改めて調べ直してみました。
ヒクイナは水辺の夏鳥で、湿地帯の減少にともなって今や絶滅危惧種。
古くは単にクイナとよばれ、日本の古典文学にたびたび登場する「くひな・水鶏」は、画像のヒクイナを指していることが多い――のだそうです。

「夏は来ぬ」という佐々木信綱作詞の有名な唱歌があります。
その四番は
    楝(おうち)ちる 川べの宿の
    門(かど)遠く 水鶏(クイナ)声して
    夕月すずしき 夏は来ぬ

なにせ明治時代の国文学者の歌詞ですから、現代人には意味不明のことが多い。
楝(おうち)とは、夏に薄紫色の花をつけるセンダン(栴檀)のこと。
いすみ市でも時折見かける樹木です。(双葉より芳しのセンダンとは別種)

古くからクイナの鳴き声は、夜中、誰かが門をたたく音に似ていると親しまれてきました。
どんな鳥なのか、どんな鳴き声なのかとずっと思ってきました。

大正堰には冬が近くなるとクイナの仲間のオオバンが来ます。
水面を泳いでいる時、水辺を歩く時、首がひょいひょいと前に出ますから、ニワトリの歩き方に似ています。
それでクイナを水鶏と書くのかと納得したものです。

それはそうとして、クイナの声がするから、もう夏が来たのだというのが四番の歌詞です。
最近はネットが便利で、クイナの鳴き声も検索できます。
でもちょっと門をたたく音には聞こえないなぁと思ってきました。

昔の人はクイナというけれど、本当は、ヒクイナのことでした。
ヒクイナの声なら、何有荘に転居してから明け方まだ暗いうちに度々聞こえてきました。
  ヒョン、ヒョン ヒョン ヒョン と鳴きます。 

ヨタカに似ているけれど、ヨタカがいすみ市にいるなんて聞いたことがありません。
いったい何だろう?と前から疑問に思ってきました。
それがヒクイナ(緋色のクイナ)の声だとわかり、安心しました。

今年も約一か月前から鳴いています。
ホトトギスと同じく夏鳥ですから 「夏が来た」にふさわしい鳴き声です。

断続音が連続しているけれど「戸を叩く音」とはやはり少し異なります。
バードウオッチの達人によれば、戸を叩くような音で鳴くこともあるそうです。

そしてヒクイナは絶滅危惧種の中でも最重要保護生物だそうで、大正堰とその隣の新堰に渡ってきているとはびっくりです。
そこは荒れ地ではなく 貴重な自然環境でした。


 
 

★梅雨の合間のオオヨシキリ

オオヨシキリ
     スズメより少し大きく、目立たない配色の夏鳥だが

何有荘前の葦原にはオオヨシキリが陣取り、朝早くから夕刻まで大声で鳴き叫んでいます。
ギョシギョシ、ケケッチ、ケケッチ、ギョシギョシ、ケケッチ、ケケッチ
その鳴き声から俳句の世界では、行々子(ギョウギョウシ)という別名がついています。
我が家では勝手に、ゲゲッチと名付けています。

  能なしの 眠たし我を 行々子    芭蕉
  行々子 大河はしんと 流れけり   一茶

葦原のアシの発音が悪しに聞こえるのを避けるため、葦原を吉原と言い換えて
そのヨシ原を切り裂くように叫ぶのでヨシキリ。
小型のコヨシキリと区別するため、オオヨシキリと命名。
コヨシキリはまだ見たことがありません。

学生だったずいぶん昔の頃、『沈黙の春』という書物が世界に衝撃を与えました。
化学薬品、農薬の大量散布で、春になっても小鳥のさえずりさえしない沈黙の春 Silent Spring .
このままだとそうなるであろうという警世の書でした。

小鳥の声がしないからさびしい、というよりも大量の農薬・化学薬品が人類の生存をも脅かすことになるだろうという指摘でした。
幸いにして最近はその使用量が控えられるようになりました。
いすみ市でもホタルが増えたという話を聞く機会が増えています。

それでもなお、今でも農薬の空中散布は続いており、
その日は外出を控えるようにと、市役所からお知らせがきます。
蜜蜂の大量死で作物の受粉がうまくいかないという話も世界中で進行しています。

オオヨシキリが生きていく葦原は、昔は河川の川口付近に広大に広がっていましたが
工場地帯へと埋め立てられ、生存条件が極端に悪くなり
千葉県の要保護鳥類に指定されています。

そんな千葉県でもこの近辺は農業衰退にともなって耕作放棄地が増え
葦原が広がり始めています
あまり良いことだとはとても思えませんが、野鳥にとってはラッキーなのかもしれません。

今日も朝早くからオオヨシキリが大声で騒いでいます。
あんなに騒がないと縄張りが守れないのかと、ちょっと気の毒になります。

それでもまぁ、安眠妨害だとブツブツ言うくらいの方が、人間にとってもオオヨシキリにとっても暮らしやすい世の中であることは確かでしょう。