★長年の疑問が解決――ヒクイナの鳴き声

ヒクイナ
   まだ実物に出会ってないので、画像を転載 転載元→T/Hの野鳥写真-Ⅰ
   鳴き声は→こちら(YouTube)

谷津干潟に珍鳥ヒクイナが姿を見せたという新聞記事を読んで改めて調べ直してみました。
ヒクイナは水辺の夏鳥で、湿地帯の減少にともなって今や絶滅危惧種。
古くは単にクイナとよばれ、日本の古典文学にたびたび登場する「くひな・水鶏」は、画像のヒクイナを指していることが多い――のだそうです。

「夏は来ぬ」という佐々木信綱作詞の有名な唱歌があります。
その四番は
    楝(おうち)ちる 川べの宿の
    門(かど)遠く 水鶏(クイナ)声して
    夕月すずしき 夏は来ぬ

なにせ明治時代の国文学者の歌詞ですから、現代人には意味不明のことが多い。
楝(おうち)とは、夏に薄紫色の花をつけるセンダン(栴檀)のこと。
いすみ市でも時折見かける樹木です。(双葉より芳しのセンダンとは別種)

古くからクイナの鳴き声は、夜中、誰かが門をたたく音に似ていると親しまれてきました。
どんな鳥なのか、どんな鳴き声なのかとずっと思ってきました。

大正堰には冬が近くなるとクイナの仲間のオオバンが来ます。
水面を泳いでいる時、水辺を歩く時、首がひょいひょいと前に出ますから、ニワトリの歩き方に似ています。
それでクイナを水鶏と書くのかと納得したものです。

それはそうとして、クイナの声がするから、もう夏が来たのだというのが四番の歌詞です。
最近はネットが便利で、クイナの鳴き声も検索できます。
でもちょっと門をたたく音には聞こえないなぁと思ってきました。

昔の人はクイナというけれど、本当は、ヒクイナのことでした。
ヒクイナの声なら、何有荘に転居してから明け方まだ暗いうちに度々聞こえてきました。
  ヒョン、ヒョン ヒョン ヒョン と鳴きます。 

ヨタカに似ているけれど、ヨタカがいすみ市にいるなんて聞いたことがありません。
いったい何だろう?と前から疑問に思ってきました。
それがヒクイナ(緋色のクイナ)の声だとわかり、安心しました。

今年も約一か月前から鳴いています。
ホトトギスと同じく夏鳥ですから 「夏が来た」にふさわしい鳴き声です。

断続音が連続しているけれど「戸を叩く音」とはやはり少し異なります。
バードウオッチの達人によれば、戸を叩くような音で鳴くこともあるそうです。

そしてヒクイナは絶滅危惧種の中でも最重要保護生物だそうで、大正堰とその隣の新堰に渡ってきているとはびっくりです。
そこは荒れ地ではなく 貴重な自然環境でした。


 
 
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★梅雨の合間のオオヨシキリ

オオヨシキリ
     スズメより少し大きく、目立たない配色の夏鳥だが

何有荘前の葦原にはオオヨシキリが陣取り、朝早くから夕刻まで大声で鳴き叫んでいます。
ギョシギョシ、ケケッチ、ケケッチ、ギョシギョシ、ケケッチ、ケケッチ
その鳴き声から俳句の世界では、行々子(ギョウギョウシ)という別名がついています。
我が家では勝手に、ゲゲッチと名付けています。

  能なしの 眠たし我を 行々子    芭蕉
  行々子 大河はしんと 流れけり   一茶

葦原のアシの発音が悪しに聞こえるのを避けるため、葦原を吉原と言い換えて
そのヨシ原を切り裂くように叫ぶのでヨシキリ。
小型のコヨシキリと区別するため、オオヨシキリと命名。
コヨシキリはまだ見たことがありません。

学生だったずいぶん昔の頃、『沈黙の春』という書物が世界に衝撃を与えました。
化学薬品、農薬の大量散布で、春になっても小鳥のさえずりさえしない沈黙の春 Silent Spring .
このままだとそうなるであろうという警世の書でした。

小鳥の声がしないからさびしい、というよりも大量の農薬・化学薬品が人類の生存をも脅かすことになるだろうという指摘でした。
幸いにして最近はその使用量が控えられるようになりました。
いすみ市でもホタルが増えたという話を聞く機会が増えています。

それでもなお、今でも農薬の空中散布は続いており、
その日は外出を控えるようにと、市役所からお知らせがきます。
蜜蜂の大量死で作物の受粉がうまくいかないという話も世界中で進行しています。

オオヨシキリが生きていく葦原は、昔は河川の川口付近に広大に広がっていましたが
工場地帯へと埋め立てられ、生存条件が極端に悪くなり
千葉県の要保護鳥類に指定されています。

そんな千葉県でもこの近辺は農業衰退にともなって耕作放棄地が増え
葦原が広がり始めています
あまり良いことだとはとても思えませんが、野鳥にとってはラッキーなのかもしれません。

今日も朝早くからオオヨシキリが大声で騒いでいます。
あんなに騒がないと縄張りが守れないのかと、ちょっと気の毒になります。

それでもまぁ、安眠妨害だとブツブツ言うくらいの方が、人間にとってもオオヨシキリにとっても暮らしやすい世の中であることは確かでしょう。


 

★玄鳥至――ゲンチョウイタル

ツバメ
     某スーパー入口にツバメが来た

1年12か月をそれぞれ前半後半に分けて24とし、季節の変化を示したのが 二十四節気。
72に分け、ほぼ5日ごとに季節の移ろいをあらわしたのが 七十二候。
二十四節気の「気」と、七十二候の「候」とを合成すると 「気候」 になります。

さて、この4月4日が七十二候でいう「玄鳥至」で、ツバメが飛来する頃といいます。
今年、初めてツバメに出会ったのは6日でしたから、ほぼドンピシャでした。

本日4月7日の午前中、道を歩いていると草むらから ジュクジュクジュクジー とおなじみのツバメの鳴き声がします。
3~4羽ぐらいが鳴きあいながら、エサをねらっているような雰囲気でした。
しかし、ツバメが地面を歩いている姿は今まで見たことがありません。

この近辺のセキレイは車を恐れず、チョコマカ地面を歩き回っていますから、セキレイの見間違いと思ってじっと観察したものの、やはりツバメです。
飛べば特徴的な燕尾姿でした。

後から考えれば、あれは巣作りの準備中だったのですね。
ご存知のように、ツバメの巣は泥とワラをツバで固めて作ります。
その泥かワラかを採集していたのだと気づきました。

画像のスーパー入口の巣は昨年の巣の再利用のようです。
ところが、某ドラッグストア、某ホームセンター、某病院のツバメの巣は撤去されています。
ツバメはまた一から巣を作ろうとして泥やワラを採集していたのでしょう。

都会ではめっきりツバメの姿を見かけなくなりました。
千葉県でも準絶滅危惧種に指定されています。

いすみ市では絶滅の危惧はないようで、なじみの夏鳥です。
ツバメを見たことがないという都会の子どもは気の毒です。

『竹取物語』の中で、姫は結婚の条件として無理難題を求婚者に出します。
石上麻呂には「燕の子安貝」を持ってくるならば、と言いました。
「燕」は当時、「ツバクラメ」と発音しました。
やがて、ツバクラ→ツバクロと変化し、戦前生まれの方はツバクロがなじみの単語です。
「子安貝」はタカラガイの一種で王朝で貨幣として使われていたり、「安産のお守り」でした。

ついでながら、ヤクルトスワローズのマスコットは “ツバ九郎”。
ツバメの古語、ツバクロをもじったネーミング。親父ギャグです。
              
なお、明日4月8日は灌仏会(カンブツエ)。
お釈迦様の誕生祭で、4と8をシとヤと読み、あわせて シャカ と読むと忘れない。

9日が七十二候で 「鴻雁北 コウガンキタス」。 雁が北へ帰る頃の意味です。
もう季節は確実に移り変わっています。
冬鳥のツグミたちは、まもなく北へ帰ることでしょう

 
 

★冬の水たんぼ 

水たんぼ
     水が張られた、ただの枯れた田んぼにみえるが

冬でも田んぼの水を落さない田んぼを「冬水たんぼ」というのだと、地元の自然を守る会の人から教わりました。

ここは夷隅川河口左岸(北)の田んぼで、いすみ市がコウノトリを呼び込んでコウノトリと共生する田んぼのお米という付加価値を付けて地元のお米を売り出そうとする、その計画が発表される前から、冬は水たんぼでした。

いわば冬水たんぼの老舗(シニセ)ですから、野鳥たちも良く知っています。
画像ではほとんどわかりませんが鳥たちが来ています。
車で脇を通過したらまったく気づかないでしょう。歩行者だってその気で探さなければ見落とすと思います。こんな鳥が何羽も来ていました。
タゲリタシギ
           タゲリ                   タシギ

タゲリは水のない田んぼにもいます。地面を蹴とばして、驚いて地面から飛び出した虫を食べるから 田蹴りでタゲリ。
タシギは田んぼによくいる鴫だから田鴫でタシギ。

湘南の大磯に「鴫立庵」があります。
西行法師が  心なき 身にもあはれは しられけり 鴫たつ沢の 秋の夕暮
と詠んだのが大磯の近くだったそうで、このシギはタシギだったろうと言われています。

タシギは茶色のまだら模様が枯葉の中では保護色となり、人が来るとじっと動かず風景の一部になりきります。
しかし、あまりに近くなるとバッと飛び立ち逃げ去ります。鴫たつ沢とはそんな景色なのでしょう。

水をはった田んぼには微生物が多く住み、イトミミズやドジョウなど小生物も多い。それをねらって鳥が集まり、フンを落として帰る――それが田んぼの肥料となる。雑草もまた鳥たちのエサとなる。
やがて水ぬるめば蛙の大合唱。蛙は害虫を食べ続けてくれる。
微生物と鳥やミミズのフンなどがうまく絡み合えばトロトロの田んぼになって雑草さえ生えないと自然農法家は言います。

自然農法の実践家によれば、農薬は百害あって一利なし、化学肥料はいらないと言います。
上手に付き合えば除草剤だって不要だとも言います。

でもまねして始めてみた人は大変な苦労だった。やはり文明の力は借りたっていいじゃないかと言います。
難しいもんですね。


 
 

★庭のメジロ

メジロ
    ミカンにつられてやってきた

何有荘にノラ猫が住み着き、ここが自分ちだと思っているらしい。
朝晩、エサ遣りをしているのだから、もうノラ猫だとは言えないのかもしれませんが…。
頭の良い猫で、叱られるので決して室内に入ろうとはしません。
しかし天気の良い日は濡れ縁でのうのうと横たわっています。

だから今年は野鳥のエサ遣りはやめようと思っていました。
時々、スズメが犠牲になっていますから。
それに、ヒヨドリがエサを独り占めしようとするのを追い払うのも面倒です。

ところが山茶花(サザンカ)の花が盛りを過ぎたころから、庭木の枯れ枝にメジロが飛んでくるようになりました。
もしかしたら、“たしか去年はここにミカンがあったはずだ”なんて思っているのかもしれません。
たまたま干からびたミカンがあったので枝に刺したら、すぐ飛んできてご機嫌につついています。
チイーチュルチュル とさえずっているのは雄でしょう。
雌はあまり鳴きません。

1羽で来るときも、2~3羽で来るときもありますので、まだツガイにはなっていないようです。
椿が咲き、梅の花が咲くようになるまで、たぶんエサ不足でしょうから
猫がジャンプしても届かない場所にしばらくはミカンを置いてやりましょう。

ついでながら、梅の花に来るのはウグイスではなく、メジロです。
メジロはあまり人を怖がらず、こちらがジロジロ見ても動ぜず、熱心に蜜をつついています。
ウグイスはめったに人前に姿を見せません。

世に言う “ウグイス色 (黄緑)” はメジロ色で、本当のウグイス色はもっと茶色がかった渋い色です。
JRも悪いんですよ。ウグイス色のラインが入った電車は山手線だなんて言うもんですから、黄緑をウグイス色だと思い違いをしている人が多いと思います。

メジロは名前の通り目の周りが白く縁どられています。
だから、スズメよりやや小型で黄緑色、眼のふちが白ければメジロです。
まん丸目玉がかわいいのですが、よく見ると恐竜の子孫らしく恐ろしい顔つきをすることもあるんですよ。