FC2ブログ

★菖蒲湯に入るのは端午の節句だが

菖蒲菖蒲2
  近くに菖蒲の群落         菖蒲の根は赤く、香りがある。

旧暦の行事を新暦で行うのは季節的に無理な場合が多く、七夕などは1ヵ月遅れの8月7日という例も多い。
菖蒲湯も多少季節的に無理があり、菖蒲の成長が今少し若いがしょうがない。

菖蒲湯は元々は夏至の日の行事だったという説があります。
今年2020年の例でいえば夏至は6月21日。この日は旧暦では5月1日。
つまり江戸時代まで、夏至と旧暦端午の節句の日は極めて近かった。
この時期はうっとうしい梅雨の時節で、うっかりするとカビだらけ。
梅雨の季節に心身を清潔に保つ意味合いで、菖蒲湯に入ってさっぱりする、その薬草湯だったのでしょう。
6月中旬までが菖蒲湯の季節だと勝手に考えています。

菖蒲と書いてアヤメと読む場合があるので紛らわしい。
美しい花が咲く菖蒲(アヤメ)を薬草湯にするのではありません。
花のない葉だけのサトイモ科の菖蒲(ショウブ)を使います。
その根はほのかに赤い。赤い色は昔から邪気を払う色とされました。
ほのかに香気があり、この香気を邪鬼は恐れ嫌うと信じられました。

菖蒲の葉は中央に筋があって厚い。すらりとした葉はまるで剣(ツルギ)みたいです。
不動明王不動明王 ドラクエドラクエ
不動明王が持つ「破邪の剣」、ドラクエの「はじゃのつるぎ」のように剣は上下なしの両刃です。
一方、切れ味鋭い日本刀は片方が刃(ヤイバ)で、片方は峰(ミネ)。このような形が刀です。
刀と剣とは本来は違う武器です。

むかしの人は菖蒲の葉を見て、お不動様の破邪の剣のようだ、きっと霊験があるに違いないと信じたのでしょう。
ショウブ(尚武)は武を貴び、ショウブ(勝負)に勝つことは望ましい。
江戸時代まで日本語表記に濁点・半濁点はありませんから、ショウフと書いてジョウブ(丈夫)とも読めました。
生き馬の目を抜くと言われる世間を渡っていくためには、菖蒲湯は不可欠の存在だったのでしょう。

『飯食わずの女房』という民話をご存じですね。
飯は食わないという女を女房にしたがお米の減り具合が激しい。隠れて見ていると髪をほどいた頭に大きな口があり、バクバクとご飯を食べていたのでびっくり。ところが鬼女房に見つかり、桶に入れられて拉致される。男は途中で脱出に成功するが鬼女房が探しに戻って来る。草むらに隠れる。鬼女房はあわてて退散する。不思議に思ってあたりを見渡せば隠れた草むらはヨモギとショウブの草むらだった――という物語です。

別の民話では、草むらに隠れた娘を木の枝に上った鬼婆が見つけて飛び降りたが、そこにはショウブがたくさん生えていたので鬼婆はズタズタになって死に、娘は助かった――という物語もあります。

どちらも剣型ショウブの霊力ですね。そんな話を聞いて昔の子どもは育ちました。
新型コロナが邪気をばらまいている今日この頃、ショウブ湯に浸り、ショウブの霊力で悪霊退散と祈願することにしましょうか。
菖蒲湯。  あゝいい湯だな。


スポンサーサイト



★収穫待ちの庭のカモミール

カモミール
       例年より半月早く収穫時になりました。

カモミールティーはハーブティーの中でも最も人気なティーでしょうか。
心がほっとし、苛立ちや悩みが消えていくような気がします。
青リンゴの香りがする黄金色のティーです。

一度植えれば毎年、雑草のようにいくらでも、あちらこちらで成長する手間いらずのハーブですが
アブラムシを呼び寄せることが欠点です。

この欠点は長所として利用されることがあります。
つまり、アブラナ科やネギの仲間、マメ科などの野菜の脇で育てれば、野菜のアブラムシがカモミールに引き寄せられるから便利だというわけです。
脇で育てれば、成長促進や害虫防除に役立つ植物をコンパニオンプランツといいます。

しかし、アブラムシだらけの花をハーブティーとして飲む勇気はありません。
毎年駆除に苦労するのですが、今年はどういうわけか、あまりいません。大丈夫そうです。
鬼の居ぬまの洗濯ならぬ、アブラムシのつかぬ間の収穫と頑張りましょう。

ハーブに興味を持った二十数年前、カモミールはまだ名前が一定せず、カモマイル、カミーレ、カモミーユ、カミツレなど様々にといわれていました。
今ではカモミールの名が一般的になりました。

和名はカミツレだというサイトがありますが、和名というよりも日本語化した外来語です。
江戸時代の輸入品、オランダ語でKamille カミーレ を当時はカタカナで書く習慣も、促音(破裂音,強調音)を小さな「つ」を添えて書く習慣もなかったために 「加密列」 と漢字表記しました。
この漢字を「カミツレ」と発音し、美容健康にきく薬草として江戸時代中後期ごろから普及しだしました。

時代物の捕り物帖を読んでいたら、カミツレの薬草茶を飲んで寝入ってしまい、そのすきに事件が起きた…ような記述がありましたが、それほどの催眠効果はないと思います。
しかし、疲れていたのでつい寝てしまったという程度の安眠効果はあると思います。

世界で最も古い薬草の一種だそうで、風邪を引いたピーターラビットにお母さんがカモミールのミルクティーを飲ませたという場面がありました。
好みによりますが、ストレートで飲むよりも、ミルクや紅茶に合わせると飲みやすいようです。
初めての人には蜂蜜入りが良いでしょう。


 

★サフランの花、一本の雌しべが三裂する

サフラン

サフランライスとかパエリアとかに必須のサフランですが、スパイスとしてはかなり高額なので購入にはためらいます。
そんな時に見つけたのがサフランの球根で、チューリップの球根程度の価格で手に入ります。
庭の色取りが寂しくなる晩秋のころにかわいい花を咲かせます。ちょっと気の毒ですが三本の赤い雌しべを引き抜いて乾燥させ、サフランとして保存します。

3本も雌しべがあるのは変ですよね。実は一本の雌しべが先端から三分裂し、三本に見えるのです。
その三本のそれぞれに受粉する柱頭があるのだそうですから、虫媒花として受粉する機会が少ない晩秋に生き延びるために受粉の機会を増やすようにと進化したものでしょう。

新春になるころ、クロッカスの花が咲きます。サフランとよく似ていると思っていたら同じ仲間でした。
サフランと違って赤い雌しべではありませんから、クロッカスは雌しべを抜き取られることはありません。サフランとクロッカス、はたしてどちらが幸福なのか。神のみぞ知り給うところです。

雌しべがなくなってどう子孫を残すのかといえば、球根です。
花が終わると葉が生い茂り球根を太らせます。そしてまた来年花を咲かせます。
そもそも球根で増える植物は受粉受精をあまり期待していないように思えます。
そうすると、何のために柱頭が3本になって受粉の機会を増やしたのか?
まさか人間にお奉仕するために赤い雌しべを増やしたのじゃないですよね。


★雑草? いえ薬草です。――スギナ

スギナ茶
      乾燥させ、ティーにするスギナ

スギナは強雑草で、抜いても抜いても抜ききれず、そのうち根負けしてスギナだらけになります。
一方で、せっかく植えたのに消えてしまった植物もあります。
スギナにとって居心地の良い土壌であり、消えてしまった植物にとっては居心地の悪い土壌だったのでしょう。

スギナは酸性土壌に生えるから石灰をまくなりして中性・アルカリ性土壌にすれば生えてこない、などと説明するサイトもありますが、おっとどっこい、そうは問屋が卸さない。
そこが強雑草たるゆえん。
今のところ全削除はお手上げ状態。

漢方によれば、最強のスギナは最強の漢方薬だと言います。
それならば刈ったスギナを漢方薬として利用すればよい。
漢方だなんて、そんな末香くさいのはイヤダ、という人にはハーブだと説明すれば良いでしょうか。
欧州では昔から有名な薬草・ハーブなのだそうです。

何回か水洗いして日乾し乾燥させます。
完全に乾燥させないと、保存中にかびたりします。
使うときは1~2cm程度に刻んで、ティーバックに詰めて利用します。
1リットルに大匙2杯程度でしょうか。粉が混ざってもOKです。
沸騰したら弱火にして5分で出来上がり。
マイルドな味のスギナティーをご賞味ください。
和風・洋風どちらのスウィーツにも合います。


さて、生ごみをなるべく出さないという観点から、刈った雑草もその場で処理という方法を採用しています。スギナも同じ。
育てた野菜の周囲に生えた雑草は、刈ったらその場に横たえて腐朽させる。地面から生まれたものは地面に返すという考え方です。
そうするとダンゴムシやら何やら大活躍して自然に戻す作業をしてくれます。
ダンゴムシは不快害虫? とんでもない。畑や自然の掃除屋さんです。
自然に戻すべきものは戻しますが、元気ハツラツな野菜には無害です。

畑には連作障害という考え方があります。
同じ土地に同じ作物を植え続けると、うまく育たないという考え方で、ヨーロッパではそれを克服するために三圃式農業が生まれたと高校時代に学びました。

家庭菜園で人気のジャガイモやトマト、豆類も連作障害があると言われています。
でも、あまり気にしません。
狭い土地なのでそんなこと言ったら植え付ける場所がありません。
それをカバーする方法が、上記の雑草全戻しです。

見るからに清々しく野菜がきれいに並んだプロ農家の畑とは真逆の何有荘の畑は雑草だらけ。
スギナだって、なんとまぁ伸び伸びと育っていることか。
スギナに連作障害はないのでしょうか。
いつの日か、スギナにとって居心地の悪い土壌になって消えていく――そんな気の長い、アホな願いを抱きながら庭のスギナと向き合っています。


 

★カモミール花咲く

カモミール
      カモミールが庭に彩りを添えていますが、ハーブティー用。

ハーブティーの代表格であるカモミールは、画像のように白い花びらに囲まれた黄色い花芯が盛り上がったら収穫時です。
花びらがついたままでも、もう風で飛んでしまったものでも黄色の部分がしっかりしていれば大丈夫です。香りが一番良い時です。

日本には江戸中期、末期にオランダ医学の薬草として輸入され蘭方医に広まりました。
気持ちを落ち着かせたり、睡眠導入剤などに処方されたようです。

当時は外来語をカタカナで書くという規則はありませんから、漢字で加密列 カミツレ。
これはオランダ語のkamille カミーレの音転写の訛りですが、今ではカミツレが和語扱いになっています。
TVで秋田の薬草園のカモミールを殿様役の県知事が出演して、秋田のカミツレだと自慢し、龍角〇の宣伝をしているのを見たことがある人も多いでしょう。
ハーブ入りの石鹸にもカミツレ石鹸という名前がついたりします。

毎年、ハーブティー用に収穫していますが悩みの種がアブラムシ。
専門家から風通しが肝要だとアドバイスされて気を配っても、花を収穫すると小さなアブラムシがついていたりしてがっかりします。

カモミールはいくつかの野菜のコンパニオンプランツと呼ばれています。
その野菜と一緒に育てるのが良いとされる理由は、カモミールにはアブラムシがつきやすく、それを利用してアブラムシを集め、目的の野菜をアブラムシから守るのだそうです。

そんなアブラムシごっそりのカモミールはお茶の材料にはなりませんね。
ではどうやってアブラムシがつかないカモミールを育てるか?

答えは意外と簡単なところにありました。
さっさと花摘みをすることです。
春になってやっと咲いた花を楽しんでから花摘みをしていたのですが、花芯が大きく膨らんだら、まだ少ない量でもさっさと摘んでドライ保存です。

カモミールは約2か月間、花が次から次へ咲き続けますが、後半になればなるほど寿命が近づき花の勢いが衰えてきます。
そうなると、アブラムシが集まってきます。

それはキューリから学びました。
元気のよいキューリには虫もつかないし病気にもなりません。
しかし盛りを過ぎると急に害虫が増え、病気にもなります。
そうなるともうどんな薬剤も効果はありません。
まもなく死ぬ運命の植物を狙ってさっさと自然界に葬り去るのが彼ら病害虫・菌の役割なのでしょう。

カモミールも同じで、だからまだ元気のよい育ち盛りの花を摘んでやるのが正解です。
花を摘まれたカモミールはオダブツを観念するのではなく、こりゃ大変だとばかりにさらに花を多くつけます。
早く花を摘むのが人間様にもカモミールにも良いのだと思います。
なお、念のためカモミールの株もとにはユズの輪切りをいくつかばらまいてアブラムシ忌避剤の代わりとしています。